COLUMN

2024.10.23 COATING

外壁塗装のトラブル事例10選!悪質業者を見抜くポイントと予防策とは?

近年、外壁塗装工事などを巡るトラブルが年々増加しています。国民生活センターなどの相談窓口には、悪質な業者による被害の訴えが後を絶ちません。

相談件数の推移 件数
2021   9,756
2022 10,099
2023 11,861

(引用元:国民生活センター_塗装工事などを含むリフォーム工事の件数https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/reformtenken.html)

これらのトラブルは、金銭的な損失だけでなく、施主側の精神的な負担も大きく、深刻な問題となっています。

トラブルの背景には悪質な業者の存在もあり、強引な勧誘や不必要な工事の契約を迫るケースも少なくありません。そのような悪質な業者に騙されないためにも、外壁塗装に関する正しい知識を消費者側が身につけることが重要です。実際によくある事例を見てケーススタディと事前の予防策、起こってしまった際の対処方を学んでいきましょう。

まとめ

  • ・外壁塗装でトラブルに巻き込まれないためにも、複数業者から調査・見積もりを取ること
  • ・業者の見極めのために、家に使う塗料や家そのものの下地を調べておくと、さらに詳しく業者へ質問できる
  • ・万が一トラブルに巻き込まれてしまったら、住宅リフォーム・紛争処理支援センターや国民生活センターに電話で相談し、アドバイスを求める

外壁塗装でよくあるトラブル事例10選

事例1:悪徳訪問販売

悪徳訪問販売は言葉巧みに不安を煽り、必要のない高額な工事契約を結ばせるという悪質なトラブルです。訪問販売業者から突然の訪問を受け、お得なキャンペーンを謳い文句に屋根や外壁の劣化を指摘され、そのまま契約を迫られるケースが多く見られます。

発生原因:悪徳業者の手口に騙される、知識不足
予防策:訪問販売業者との契約は複数の業者から見積もりを取る。会社名で検索の上、実績や費用が掲載されていれば確認し、手元にある見積もりが上乗せされていないか確認(値引きを大きく見せる手法がとられる)
対処法:クーリングオフ制度の利用、消費生活センターへの相談

「今すぐ契約すれば大幅値引き」「この地域限定のキャンペーン」などの甘い言葉には注意が必要です。

訪問販売で契約を検討する際は、一度冷静になって、複数の業者から見積もりを取るなどして比較検討は必ず行いましょう。もし契約後に不安を感じたら、クーリングオフ制度を利用したり、消費生活センターや国民生活センターの相談窓口へ連絡しましょう。

事例2:高圧洗浄による破損、浸水

高圧洗浄は、外壁にこびり付いた汚れを落とすのに有効な手段ですが、その強力な水圧で外壁材の破損、窓や換気口付近から室内に水が入ることがあります。

発生原因:不適切な水の当てる角度や水圧設定、老朽化した外壁への使用
予防策:事前の外壁診断、窓や換気扇周りの確認
対処法:業者に補償を求める、状況に応じて保険会社へ連絡

高圧洗浄機の設定水圧が高すぎる、または外壁との距離が近すぎる場合に、塗膜や外壁材そのものを傷つける可能性があります。特に、モルタル壁や古いサイディングなどは破損しやすいので注意が必要です。

現状の塗膜や外壁材を調査して教えてもらい、崩れやすい点があれば考慮してもらうようにしましょう。また、必要に応じて、窓や換気口、エアコンの室外機などをしっかりと養生して、水が入らないようにしましょう。

水の浸水は業者がきれいに掃除すれば、すぐ終わることも多いでしょう。しかし、シミになってしまったり、外壁破損等があれば、業者に補償を求められるように事前に交渉や確認をしておくと安心でしょう。

事例3:塗料や水、汚れの飛散による近隣トラブル

外壁塗装工事では、塗料や水が飛散し、ご近所トラブルに発展することがあります。例えば、強風時に作業を行い、塗料が飛散してしまったり、養生が不十分で隣家の車や洗濯物に塗料や水、汚れが付着してしまうケースがあります。

発生原因:不十分な養生、強風時の作業
予防策:近隣住民への事前説明、丁寧な養生作業
対処法:謝罪と誠意ある対応、クリーニング費用負担(通常であれば業者持ち)

このようなトラブルを防ぐためには、作業前に近隣住民へ作業日程や内容を丁寧に説明し、ご理解とご協力を得ることが重要です。また、業者の作業ではありますが、塗料の飛散防止ネットやシートを適切に設置するなど、徹底した養生を行うことが重要となります。万が一、トラブルが発生した場合は、依頼主からも誠意をもって謝罪を行い、後処理に関しては業者にクリーニング費用などを負担してもらうなど、適切な対応を心がけましょう。

事例4:手抜き工事(塗料の乾燥時間を考慮しない、規定量以下の塗布、下地処理不足など)

塗料の乾燥時間を考慮しない、規定量以下の塗布、下地処理不足などで(ひび割れ対応やコーキング補修などをしない)手抜き工事が発覚した場合、住宅の耐久性や美観を損なうだけでなく、後々の補修費用も大きな負担となります。

発生原因:利益優先、技術不足
予防策:工程表の確認、定期的な現場確認
対処法:業者に手直しを要求、状況に応じて専門家に調査依頼

手抜き工事を未然に防ぐためには、工程表で作業内容や使用塗料を事前に確認することが大切です。よくトラブルで聞くことは、下塗り、中塗り、上塗りで3日はかかるところを2日で完了して乾燥期間を考慮しないといった点です。

塗装工事中も定期的に現場を訪れ、進捗状況や施工内容を自分の目で確認するようにしましょう。わかりやすい所だと、ひび割れやカビ、コケなどをしっかりと対応しているか確認させてもらうところから始めるとよいでしょう。いずれにせよ疑問点があれば、その都度業者に質問し、納得のいく説明を受けることが重要です。

事例5:施工の遅延

外壁塗装工事では、天候や職人の都合などによって工期が延びてしまうケースも少なくありません。 予定していた日程を超過してしまうと、足場を組んだままの期間が長くなり、日常生活に支障が出てしまう場合もあるでしょう。

発生原因:人手不足、天候不良、追加工事
予防策:余裕を持った工期設定、こまめな進捗確認
対処法:遅延理由の説明を求める、違約金請求

トラブル発生時のリスクを最小限に抑えるためには、余裕を持ったスケジュールで工事を行うことが重要です。 実際は悪天候などで施工が出来ず(悪天候で塗装作業を行ってしまうと品質が悪くなるため、無理やり進めるのは良くない)、どうしても伸びてしまうケースはあるのですが、原因不明で伸びている場合は、早急に業者へ確認を取りましょう。

事例6:色ムラ・塗り残し

外壁塗装の完成後、期待していた仕上がりと異なり、色ムラや塗り残しが見つかるケースがあります。これは、塗装業者の技術不足や作業中の注意不足が原因として考えられます。

・発生原因:技術不足、注意不足
・予防策:塗装中も定期的に確認、完成後の入念なチェック
・対処法:業者に手直しを要求

色ムラや塗り残しは、美観を損なうだけでなく、建物の耐久性にも影響を与える可能性があります。事例4の手抜き工事のチェックと同じタイミングで怪しそうなところは指摘すると良いでしょう。こちらが指摘をするのは当然の権利であり、後ろめたい気持ちは持つ必要はありません。

事例7:保証内容との相違

せっかく保証があると安心していたのに、いざトラブルが起きても保証の対象外と言われてしまったり、保証期間内のはずなのに高額な費用を請求されるケースがあります。

発生原因:契約時の説明不足、曖昧な保証内容
予防策:保証内容の詳細確認、書面での交付
対処法:契約書に基づいた主張、専門家への相談

口約束では言った言わないの水掛け論になってしまう可能性があるので、言った言わないを防ぐためにも、事前に保証内容を書面でしっかり確認しておくことが重要です。曖昧なら、「これって具体的にはどんなトラブルが起きた時の保証?」と確認して、さらにそれをメールで残しておきましょう。後々のトラブルを避けるためにも、不明な点はその場で質問し、納得した上で契約を結びましょう。

事例8:追加料金の請求

当初の見積もり金額から追加料金が発生するケースがあります。追加料金が発生する主な原因としては、業者が不必要な追加工事を提案してきたり、当初の見積もりに必要な項目が含まれていなかったりすることが挙げられます。

発生原因:営業の経験不足による見積もり項目の不足、悪意のある営業提案
予防策:詳細な見積もり内容の確認、不明瞭な点の質問、点検箇所の確認
対処法:追加工事の必要性を確認、納得できない場合は拒否

ここでも複数の業者から見積もりを取る重要性がでてきます。悪徳業者は破損や水漏れもしていない箇所でも、似たような物件の写真の壊れた部分を見せたり、濡らしたりして不安を煽ることもあるようです。そのため、不安に感じたら実際にその場所を見せてもらいましょう。また、見積書に記載されていない工事や費用が発生する可能性がある場合は、事前に業者に確認し、書面に残しておくようにしてください。

もし、納得できない追加料金を請求された場合は、その根拠をしっかりと説明してもらい、納得できなければ契約を拒否しましょう。

事例9:契約後の対応不良

契約を締結した後は、業者と連絡が取りにくくなる、質問に対する回答が曖昧になるなど、対応が悪化するケースがあります。

発生原因:顧客対応の軽視
予防策:業者の評判や口コミをチェック
対処法:WEBサイトの問い合わせから直接連絡し対応不備の件など報告、改善が見られない場合は住宅リフォーム・紛争処理支援センターや国民生活センターへ相談

例えば、工事の進捗状況について問い合わせても、なかなか連絡がつかない、あるいは、質問に対する回答があいまいで、具体的な説明がないといったトラブルが起こることがあります。

このようなトラブルを避けるためには、契約前に業者の評判や口コミをしっかり確認することが大切です。ただ実際は営業や施工者の誠実性に関わる部分も多分にあるため、あまりにひどい対応であった場合は、企業WEBサイトの問い合わせに状況を説明しましょう。状況が改善しない場合は、専門機関へ相談することも検討しましょう。

事例10:塗装の剥がれ・膨れ

せっかく外壁塗装をしてもらったのに、しばらくしたら塗装が剥がれてきたり、膨れてきてしまうトラブルもあります。こちらも実際は先述してきた内容の予防策をしっかりとカバーしてれば問題を避けやすくなります。

発生原因:下地処理の不足、乾燥時間の不足、塗料の品質問題、施工不良
予防策:優良な塗装業者を選定する、事前に塗装工程や使用する塗料について説明してもらう、
契約書を精査して不明な点は必ず質問、施工中は定期的に現場を確認、保証に施工後の対応が入っているか確認
対処法:塗装後1年以内であれば業者に問題がある可能性が高いため、業者へ連絡して対応してもらう(保証期間内であれば無料など対応がスムーズ)、住宅リフォーム・紛争処理支援センターや国民生活センターへ連絡

塗装の剥がれや膨れは、建物の美観を損なうだけでなく、建物の劣化を早める原因にもなります。 そのため、早期に発見し、適切な対処をすることが重要です。

悪質業者を見抜くポイント

外壁塗装工事でトラブルに巻き込まれないためには、悪質業者を見抜くためのポイントを押さえておくことが重要です。以下8つほど挙げましたので参考までにご確認ください。これらの条件を裏返せば、信用できる業者である可能性が高いと言えるでしょう。

会社名、住所、電話番号などが不明瞭

悪質な業者の場合、会社情報が不明瞭なケースが多く見られます。 信頼できる業者を見極めるためには、公式サイトを確認の上、「そもそも会社が存在しているか?」「Googleの口コミや電話番号を検索した上で悪い口コミが多くかかれていないか?」を見てみましょう。良い口コミが書かれていても、実際は対策されている可能性もあるので何とも言えませんが、悪い口コミばかりであればお断りした方が無難でしょう。

見積もりが異常に安い/高い

外壁塗装の見積額が相場よりも極端に安い/高い場合は注意が必要です。例えば、悪質業者が契約を急ぐために、不当に安い金額を提示してきて、後から追加でオプションや追加請求などしてくるケースもあります。逆に高い場合は、後から大幅値引きという形をとってお得感を出してくることもあります。

いずれにせよ、適正価格を事前にインターネットで把握しておくことが重要です。そのためには、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することが大切です。

契約を急がせる

「本日中に契約いただければ、特別に〇〇円値引きいたします。」「先着〇名様限定」「本日中にご契約いただけないと、この価格ではお受けできません。」など急かしてくる業者も多くあります。

しかし、外壁塗装は高額です。じっくりと時間をかけて、必ず複数の業者を比較検討し、納得した上で契約して、本当に信頼できる業者を選別しましょう。

施工工程の説明が曖昧

一般的な外壁塗装では乾燥期間を設ける必要があるため、早くても10日ほどかかります。工程としては①足場の設置→②高圧洗浄→③下地処理→④養生設置→⑤下塗り→⑥中塗り→⑦上塗り→⑧点検および⑨調整→解体・撤去といった順序で行います。それぞれの項目で1日以上かかると考えてよいでしょう。

仮に1週間程度で対応可能と言われた場合、手順を飛ばしている/短縮している可能性が高いです。もし悪徳業者であった場合、最初の1,2年間は良いでしょうが、それ以降は徐々に剝がれていくようなこともありえるので気を付けてくださし。

技術や実績が曖昧

外壁塗装の専門的な知識や技術を持っている証明として、業者や職人が保有している資格があります。また、過去に行った施工事例は、技術力や実績を判断する材料になります。

しかし、悪質な業者かつ技術や実績がない場合、曖昧な答えしかかえってことないことがあります。技術・実績共に、明確に説明や事例を見せることが出来ないなら、依頼者側にとって安心できないのは当然です。ハッキリとした説明ができない業者は避けましょう。

連絡が取りにくい

契約前はスムーズにやり取りできていたのに、契約後連絡が途絶えてしまう…というのはよくあるトラブルです。 塗装工事中にトラブルが発生した場合でも、業者と連絡が取れなければ、迅速な対応は難しくなります。 「言った・言わない」のトラブルを防ぐためにも、緊急時の連絡体制を事前に確認しておきましょう。また、電話でのやりとりを行った場合は、メールにて書き残しておくようにしましょう。

近隣への配慮がない

外壁塗装工事は、騒音や塗料の飛散、隣家の洗濯物ができなくなるなど、少なからず近隣住民に迷惑をかけてしまう可能性があります。 そのため、業者を選ぶ際には、近隣住民への配慮を重視しているかどうかも重要なポイントです。塗装工事に精通した会社であれば配慮するべき点のため、契約直前になってもこの話がなければ、考え直しても良いでしょう。

下請けに丸投げする(業者を変更してくる)

外壁塗装工事を依頼した会社が、実際に作業を行うのは下請け会社というケースは少なくありません。下請け自体は問題ないのですが、責任の所在が曖昧になると困るのは依頼主です。工程・品質の管理や工事中の連絡先、最終的な責任の所在などは契約前に必ず確認して書面に残しましょう。

また、下請け会社が変更になる場合なども事前に連絡をしてもらうようにしましょう。

トラブルを予防するための対策

外壁塗装のトラブルを避けるためには、事前の対策が重要です。信頼できる業者を見つけるためのポイントを以下にまとめました。

対策内容
複数の業者から見積もりを取る複数の業者から見積もりを比較することで、適正な価格帯を把握できます。絶対にこちらはやっておきましょう。
業者の実績・評判を調べるホームページや口コミサイトで、過去の施工事例や顧客の評価を確認しましょう。
契約内容を明確にする口約束ではなく、必ず書面で契約を交わし、工事内容、費用、支払い条件などを明確化しましょう。
保証内容を確認する保証期間や保証内容、保証書発行の有無を事前に確認しましょう。保証書がないと施工後に不備があっても対応してもらえません。
疑問点はすぐに質問する見積もり内容や契約内容に不明点があれば、納得するまで業者に質問しましょう。
色見本は実際に塗った色を確認する塗装の色に関しては実際に塗ってみると光の反射で雰囲気が異なるため施工後のイメージ差異を無くすことができます。
相見積もりで比較するのと同時に工程表におかしな点がないか確認する例えば、中塗り・上塗りが1日で完了するようなことは実際ほとんどありません。使われている塗料の乾燥期間を調べて矛盾点がないか確認しましょう。

これらのポイントを踏まえ、信頼できる業者を選択し、トラブルを未然に防ぎましょう。

外壁塗装トラブル発生時の相談先

住宅リフォーム・紛争処理支援センター

住宅リフォーム・紛争処理支援センターは、住宅のリフォーム工事に関するトラブルの相談に応じています。相談は無料で、専門の相談員が対応します。

相談方法電話番号受付時間
電話相談0570-016-100月~金 9:00~17:00(土、日、祝休日、年末年始を除く)

住宅リフォーム・紛争処理支援センターでは、トラブルの解決方法のアドバイスや、業者との交渉の支援などを行っています。また、電話料金はかかりますが、必要に応じて弁護士による無料法律相談も受けられます。(紛争処理の費用は1万円程度の申請料のみ)外壁塗装のトラブルで困っている場合は、一人で抱え込まずに、住宅リフォーム・紛争処理支援センターに相談してみましょう。

国民生活センター

国民生活センターは、消費生活全般に関するトラブルの相談を受け付けている、独立行政法人です。外壁塗装のトラブルについても、相談することができます。

相談方法電話番号受付時間
電話03-3446-162310時~12時、13時~16時(土日祝日、年末年始を除く)

国民生活センターでは、トラブルの内容に応じて、以下の様な情報提供や助言を行っています。関係法令や過去の事例、事業者との自主交渉の方法や具体的な解決策などについてアドバイスしてくれます。

外壁塗装は信頼できる業者に依頼することの重要性

外壁塗装は、高額な費用と長い工期を伴うため、信頼できる業者選びが非常に重要です。安易に価格だけで業者を選んでしまうと、手抜き工事や追加費用の請求など、トラブルに巻き込まれる可能性が高まります。

安心して大切な住まいを任せられるよう、複数の業者を比較検討し、実績や評判などを参考に、信頼できる業者を選びましょう。