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2024.10.23 COATING

塗装工事業とは?主な種類と建設業許可の取得要件と許可が不要なケースについて

塗装工事業とは、建物の内外装から橋梁、鉄塔まで、様々な構造物に塗料を施す専門性の高い仕事です。 塗装工事だけでなく、溶射工事やライニング工事など、多様な種類があります。 建設業許可を取得することで、事業拡大や信頼性向上などのメリットが得られますが、取得要件や許可が不要なケースも理解しておくことが重要です。 塗装工事業で成功を目指すなら、ぜひこの記事で基礎知識を身につけましょう。

まとめ

  • ・塗装工事業は、建物の内外装から橋梁、鉄塔まで、様々な構造物を対象とした幅広い工事の種類を含む
  • ・塗装工事業者は、建設業許可を取得することで、大規模な工事の受注や信頼性向上、公共工事への入札資格などのメリットを得られる
  • ・建設業許可の取得には、経営業務の管理責任者、誠実性、欠格要件、専任技術者、財産要件の5つの要件を満たす必要がある

塗装工事業とは?主な種類について解説

塗装工事業とは、国土交通省の建設業許可事務ガイドラインによると、塗装工事、溶射工事、ライニング工事、布張り仕上げ工事、鋼構造物塗装工事、路面表示工事の6つが例示されています。それぞれ簡潔に説明します。

塗装工事

塗装工事とは、建物の内外装、橋梁、鉄塔など、様々な構造物に塗料を塗布し、美観向上だけでなく、保護、耐久性向上を図ります。塗装工事業の中でも一般的消費者に対してのニーズが広く、多くの方が事業にする工事です。

溶射工事

金属粉末を高温で溶融し、対象物に吹き付けることで、耐摩耗性、耐熱性、耐食性などを向上させる工事です。専門性の高い技術と設備が必要となるため、参入障壁は高いですが、高付加価値なサービスを提供できます。

ライニング工事

配管やタンクなどの内面を保護する工事です。 特殊な樹脂などを塗布し、腐食や摩耗から保護します。工場やプラントなど、産業施設における需要が高く、安定した収益が見込めますが、こちらも専門知識と技術が求められます。

布張り仕上げ工事

内装の美観向上に特化した工事です。 壁紙やクロスなどを用いて、壁や天井を仕上げます。他の工事と異なり、デザイン性や機能性を重視する顧客が多く、提案力や施工技術が重要となります。

鋼構造物塗装工事

橋梁や鉄塔などの大型構造物の塗装工事です。 高所作業や特殊な足場が必要となる場合があり、安全管理が特に重要となります。専門性の高い技術と経験が必要となり、大規模な案件が主体になるため、金額が大きくなる傾向が強いです。

路面表示工事

道路や駐車場などにラインを引く工事です。 交通安全に直結する重要な工事であり、正確な施工が求められます。公共工事の需要が多く、安定した受注が見込めますが、競争も激しい分野です。

塗装工事業の建設業許可とは?必要性とメリット

上記に該当する事業者の方々は、建設業許可の取得を検討しているかもしれません。建設業許可を取得しておくと大きな売上・利益を達成できる可能性が高くなるだけでなく、与信面など様々な点でメリットがあります。メリットの詳細は後述しますが、まずは必要性と建設業許可の2つの種類について記載します。

建設業許可の必要性

まず、前提として建設業許可は改行に必須ではなく、無許可の場合は金額や対応できる規模が小さくなるということなので、誤解をしないようにしましょう。

しかし、許可があれば、建設業許可は建設工事を請け負う事業者が、一定の技術力や経営基盤を持っていることを証明できます。建設工事は大規模になればなるほど、人命や財産に大きな影響を与える可能性があるため、質の高い工事を確保し、発注者を守るために、建設業法で許可制度が定められています。

建設業許可のメリット

建設業許可を取得するメリット塗装工事業者が建設業許可を取得することで、様々なメリットを享受できます。ここでは、主なメリットとして下記の3点を解説します。

・500万円以上の工事を受注可能になる
建設業許可を取得していない場合、建設業法により、請負金額が500万円以上の工事を受注することができません。許可を取得することで、規模の大きな工事を請け負うことができ、事業拡大のチャンスが広がります。
・信頼性とブランド力の向上
建設業許可は、事業者が一定の技術力や経営基盤を満たしていることの証明となり、顧客からの信頼獲得に繋がります。
・公共工事への入札資格
建設業許可を取得することで、国や地方自治体が発注する公共工事への入札資格を得られます。公共工事は安定した受注が見込めるため、事業の安定化に大きく貢献します。

他にも、融資の審査が通りやすくなる、保険の優遇、懲役や罰則/業務停止の心配が軽減できる(取得していないと、500万以上の工事を受注してしまう、虚偽申請のケースなど様々な懸念事項がある)など多くのメリットが存在します。

このように、建設業許可を取得することで、事業の拡大や安定化に繋がる様々なメリットがあるため、塗装工事業者にとって非常に重要な要素と言えるでしょう。

建設業許可の種類

建設業許可には大きく分けて2つの種類があります。

1.一般建設業許可
・請負金額が500万円以上(建築一式工事の場合は1,500万円以上または木造住宅で延べ面積150平方メートル以上)の工事を請け負う場合に必要
※500万円/1,500万円は税込・材料費も込み

2.特定建設業許可
・元請けとして請け負った工事の下請金額の合計が4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上)になる場合に必要
・一般建設業許可を取得していることが前提

請け負う工事の内容や規模によって、どちらの許可が必要になるかが異なります。一般的に、小規模な住宅リフォームや塗装工事などを行う場合は一般建設業許可で対応できることが多いでしょう。一方で、大規模なビル建設、公共工事、インフラ設備などを請け負う場合は特設建設業許可が必要となります。

建設業許可が不要なケース

建設業許可が不要なケースとして、以下のような項目が挙げられます。それぞれの条件を全て満たせば不要になります。

請負金額が500万円未満の工事

・建設業法では、請負金額が500万円以上の工事を請け負う場合に建設業許可が必要と定められています。
・ただし、建築一式工事の場合は、請負金額が1500万円未満または木造住宅で延べ面積150平方メートル未満であれば許可は不要です。

※建設業許可で500万円未満は「軽微な建設工事」として扱われ、こちらは許可が不必要

下請けとして工事を行う場合(ただし全てではない)

・建設業許可は、元請けとして工事を請け負う場合に必要となり、下請けは必要がない場合があります。
・専門工事業者の立場として、下請けを請け負う場合で、500万円未満の受注額であれば建設業許可は不要です。

軽微でなくとも許可が不要な例外的な工事

建設業許可取得の要件

建設業許可を取得するには、以下5つの要件を満たしている必要があり、それぞれ具体的な詳細を説明していきます。

経営業務の管理責任者

建設業許可を取得するためには、経営業務の管理責任者を設置する必要があります。 これは、建設業法で定められた要件の一つであり、事業を円滑かつ適切に行うために必要な体制と言えるでしょう。

経営業務の管理責任者
定義請負契約の締結や建設工事の施工の管理など、建設業者の経営業務を的確に管理する責任者
役割営業許可申請書類への記名押印、営業に関する重要事項の説明、工事契約の締結、工事現場の監督など

経営業務の管理責任者には、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

・営業所において、常勤の取締役、執行役、理事、監査役、監査委員、企業組合の業務を執行する社員、支配人、業務を執行する使用人(支配人に準ずるもの)として5年以上経営業務に従事した者
・営業所において、常勤の従業員として7年以上経営業務に従事した者

上記のように、経営業務の管理責任者には、相応の実務経験が求められます。

誠実性

建設業許可を取得するためには、事業者や役員に「誠実性」が求められます。これは、過去に不正行為などによって建設業法やその他の法律に違反していないことを意味します。

具体的には、以下のような項目が審査されます。

項目内容
欠格要件の有無建設業法で定められた欠格事由に該当していないか
申請書類の虚偽記載の有無申請書類に虚偽の内容を記載していないか
税金の滞納の有無税金(法人税、所得税、消費税など)を滞納していないか
社会保険料の滞納の有無社会保険料(健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険など)を滞納していないか
暴力団との関係の有無暴力団員や暴力団関係企業との関係がないか
その他の法令違反の有無その他の法令違反や不正行為を行っていないか

誠実性の審査は、建設業許可を取得するための重要な要素の一つです。過去に問題となる行為があった場合、許可を取得することが難しくなる可能性があります。そのため、日頃から法令を遵守し、誠実な事業運営を心がけることが大切です。

欠格要件

建設業許可を取得するためには、経営者や役員に一定の欠格要件が定められています。これは、建設業の適正な運営を確保し、公共の利益を守るために設けられています。

具体的には、以下のような場合、建設業許可を受けることができません。

欠格要件内容
破産者など破産宣告を受けて復権を得ない者など
禁錮以上の刑を受けた者禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなるまでの者など
建設業法などの違反建設業法やその他の法律に違反し、罰金以上の刑に処せられ、一定期間を経過しない者など
不誠実な行為営業に関し、不正または不誠実な行為をした者など
暴力団関係者暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者など
その他営業の健全な運営や公共の利益を阻害するおそれがあると認められる者

これらの要件に該当するかどうかは、個々の状況によって判断されます。不安な点がある場合は、専門家にご相談ください。

専任技術者

建設業許可を取得するためには、専任の技術者を置くことが必須です。 専任技術者の要件は、一般建設業許可と特定建設業許可で異なります。

区分必要な実務経験年数
一般建設業許可7年以上
特定建設業許可10年以上

上記表の通り、特定建設業許可を取得する場合はより長い実務経験が求められます。

実務経験の内容としては、下記のようなものが該当します。

・建設工事の施工管理
・建設工事の設計業務
・建設工事の調査・測量

実務経験を証明するためには、過去の勤務先が発行する「雇用証明書」などを提出する必要があります。

財産要件

建設業許可を取得するには、経営業務の管理責任者や専任技術者に関する要件だけでなく、財産に関する要件も満たしている必要があります。具体的には、以下のいずれかの基準を満たしている必要があります。

区分基準
純資産額500万円以上
負債総額との差額1,000万円以上

これらの基準は、建設業を営む上で必要な資金力や信用力を確保するためのものであり、事業の安定的な運営を図ることを目的としています。

なお、これらの財産要件は、許可を取得しようとする営業所ごとに満たしている必要があります。

まとめ

塗装工事業で成功するためには、建設業許可の取得や適切な業務範囲の理解が不可欠です。 成功のためには、まず建設業許可の必要性について確認しましょう。 請負金額や工事内容によっては許可が必要になります。 許可取得や事業運営に関する疑問点は、一人で抱え込まず、専門家に相談することをおすすめします。 これらのポイントを踏まえ、専門家のアドバイスを受けながら、法令遵守を徹底し、お客様からの信頼を獲得していくことが、塗装工事業における成功へと繋がります。