COLUMN

2024.10.23 COATING

塗装工事とは?施工手順や塗装のタイミング、業者の選び方を解説

「そろそろ家の塗り替え時期かな?」「でも、塗装工事って一体何をするの?」
そんな疑問をお持ちのあなたへ。この記事では、塗装工事の基礎知識から、最適なタイミング、信頼できる業者の選び方まで、わかりやすく解説します。
・塗装の役割や必要性、劣化症状の見分け方など、基本を丁寧に解説
・外壁塗装・屋根塗装を中心に、工事の種類と具体的な施工手順をご紹介
・業者選びのポイントや注意点、よくある質問への回答も網羅
この記事を読めば、塗装工事の全体像を理解し、安心して工事を依頼できる業者を見つけることが出来るようにまとめましたので、参考になれば幸いです。

まとめ

  • ・塗装工事とは、建物の外壁や屋根、鉄部、木部などに塗料を塗布する工事のことで、多くの住宅において気になるのは外壁塗装と屋根塗装のことを指す
  • ・塗装を検討するタイミングは、外壁塗装の場合は約10年で、「色褪せ・変色」「ひび割れ」「外壁表面を触ると、白い粉のようなものが手につく」などの兆候があるとき
  • ・塗装工事を怠ると外壁材の腐食(最悪内部まで浸食)やカビの発生、ひび割れの進行などを招き、建物の寿命を縮める

塗装工事とは?その役割と重要性を解説

塗装工事とは、建物の外壁や屋根、鉄部、木部などに塗料を塗布する工事のことです。単に建物を美しく彩るだけでなく、建物の寿命を延ばす重要な役割を担っています。

塗装の役割として、以下の点が挙げられます。

・美観の向上
・防水機能の確保
・防錆効果の付与
・防カビ・防藻効果の付与
・断熱・遮熱効果の付与
・紫外線による劣化防止

新築時はもちろん、経年劣化によってこれらの効果が薄れてきたタイミングで塗り替えることで、建物の寿命を延ばすことに繋がります。

逆に、塗装工事を行わないまま放置してしまうと、以下のようなリスクがあります。

・建物の劣化の加速
・雨漏りや浸水により、建物内部の腐食が進む
・建物の資産価値の低下

そのため、定期的なメンテナンスとして塗装工事を行うことは、建物を長く安全に住まうために非常に重要です。

塗装工事が必要なタイミング

建物の外観を美しく保つだけでなく、建物を風雨や紫外線から守る役割も担う塗装ですが、塗装の効果は永遠に続くわけではありません。

一般的に、外壁塗装の塗り替え目安は築10年ほどと言われています。 もちろん、使用している塗料や住んでいる地域の環境によって最適なタイミングは異なりますが、築年数をひとつの目安にすることで、適切な時期に塗装工事を行うことができます。

築年数目安
約10年初めての塗り替えを検討する時期
約15年外壁の劣化症状が見られる場合、早めの塗り替えを検討
約20年以上外壁材の劣化が進む可能性があるため、早急な塗り替えが必要
塗料の種類耐用年数
アクリル塗料5~8年
ウレタン塗料7~10年
シリコン塗料10~15年
フッ素塗料15~20年
ラジカル塗料16~20年
無機塗料20年以上

築年数が経過すると、たとえ目に見える劣化が少なくても、塗膜の防水機能が低下し、建物の内部に水分が浸入しやすくなります。 結果として、外壁材の腐食やカビの発生、ひび割れの進行などを招き、建物の寿命を縮めることにつながります。 そのため、築年数に応じたメンテナンスを心掛け、建物を健全な状態に保つことが大切です。

建物の劣化症状をチェック

建物の外観劣化症状を注意深く観察することで、塗装工事が必要なタイミングを把握できます。 代表的な劣化症状は以下の通りです。早めに対処することで、建物の寿命を延ばし、資産価値を維持することにつながります。

・ひび割れ:外壁や屋根に亀裂が生じている状態です。
・色あせ・変色:紫外線や風雨の影響で、塗装が薄くなったり、変色したりします。
・チョーキング現象:外壁表面を触ると、白い粉のようなものが手につく現象です。
・コーキングの劣化:窓などの周りにあるゴム状の充填材(コーキング)に、ひび割れや剥がれ、弾力性が無くなり硬化・肉痩せが発生している状態です。

これらの症状が見られる場合は、塗装工事が必要なサインかもしれません。 専門業者に相談し、適切な診断と対策を検討しましょう。

より詳細のチェックリストは、「外壁塗装はまだするな!最適なタイミングと手遅れになる前のチェックリスト」にて詳細を解説していますので、お時間があればご確認ください。

塗装工事の種類

塗装工事にはいくつか種類がありますが、多くの住宅において気になるのは外壁塗装屋根塗装となるため、そちらを重点的に解説します。

外壁塗装

外壁塗装は建物の外観を美しく保ち、雨風や紫外線から建物を守るための塗装です。耐久性や耐候性に優れた塗料が用いられ、建物の寿命を延ばす効果も期待できます。

屋根塗装

屋根を雨漏りや劣化から保護するための塗装です。屋根は特に過酷な環境にさらされるため、耐候性や防水性に優れた塗料選びが重要です。

鉄部塗装

門扉、フェンス、シャッターなど、鉄製の建材を錆から守るための塗装です。錆止め効果のある塗料を使用し、美観維持と耐久性向上を図ります。

木部塗装

木製の建具や家具などを保護し、美しさを引き出すための塗装です。木材の呼吸を妨げない塗料を選び、防腐・防虫効果も考慮します。

塗装工事の施工手順

塗装工事を行うにあたってどのような手順で行われるか実際の順番通りに解説をします。

問い合わせと現地調査

塗装工事を行うかどうか検討していくにあたって、まず業者へ問い合わせを行いましょう。問い合わせ後に現地調査が行われます。重要なポイントですが、塗装対象建造物の調査が行われずに見積書を提出してきた場合は、契約後に追加見積もりなどが発生しやすいため、依頼する候補から外してもよいでしょう。

現地調査では建物の状態や寸法だけではなく、周辺環境(日当たりや風通し、近隣との距離など)も確認するため、非常に重要な役割を持っています。

現地調査の結果に基づいて、詳細な見積もりが作成されます。

見積もり提出

見積書は、複数の業者から提出してもらい、比較検討することが大切です。 金額だけで判断するのではなく、工事内容や塗料の品質なども考慮しましょう。 不明点があれば、遠慮なく業者に質問し、納得した上で契約することが大切です。

契約

塗装業者と工事内容、費用などに合意ができたら、契約を結びます。契約書は、後々のトラブルを避けるためにも、しっかりと内容を確認することが重要です。口約束ではなく、書面で契約を交わすことで、お互いの認識の違いを防ぎ、安心して工事を進めることができます。

近隣挨拶

塗装工事は、足場設置や高圧洗浄など、騒音や塗料の飛散の可能性を伴う作業が多く発生します。そのため、工事開始前に近隣住民の方々にご迷惑をおかけすることを事前に説明し、理解と協力を得ておくと後々のトラブルに発展しにくくなります。

足場設置・養生

塗装工事では、安全かつ効率的に作業を行うため、そして建物の隅々まで丁寧に仕上げるために足場の設置が欠かせません。 足場は建物の高さや形状、周辺環境に合わせて適切な種類が選ばれます。

まず、トラックなどで運搬された足場の部材を作業員が運び入れます。 その後、地面が土の場合には足場が沈まないようにしっかりと基礎を作ります。 そして、組み立てた足場を建物の周囲に設置していきます。 最後に、塗料の飛散や落下物から周囲を守るために、メッシュシートを取り付けていきます。

高圧洗浄

高圧洗浄は、外壁や屋根などに付着した汚れ、コケ、古い塗膜などを洗い流す作業です。高圧洗浄を丁寧に行うことで、塗料の密着性が向上し、仕上がりが美しく、塗膜の耐久年数も長持ちします。

下地処理

下地処理は、塗料の密着性を高め、仕上がりの美しさや耐久性を左右する重要な工程です。 ここでは、具体的な作業内容を紹介します。

高圧洗浄で汚れを落とす
長年蓄積した汚れや古い塗膜、コケなどを高圧洗浄機を使って徹底的に除去します。
クラック処理
外壁のひび割れ(クラック)を補修します。 ヘアクラックと呼ばれる髪の毛ほどの細いひび割れにはシーリング材を充填します。 幅が大きいクラックの場合は、Uカットシールや注入工法などで補修を行います。
錆止め処理
鉄部に発生した錆を電動工具やケレンなどで除去し、錆止め材を塗布します。
コーキング処理
外壁材のボードとボードの隙間を埋めているコーキング材の劣化症状が見られる場合は、既存のコーキング材を撤去し、新しいコーキング材を充填します。
下地処理を丁寧に行うことで、塗料がしっかりと密着し、美しく耐久性の高い仕上がりを実現できます。

下塗り

下塗りは、上塗り材の密着性を高め、仕上がりの美しさや耐久性を向上させるために行います。そのため、下塗り塗料は、下地の状態や上塗り塗料の種類に合わせて適切なものを選ぶ必要があります。専門業者であれば、経験と知識に基づいて最適な下塗り材を選定し、美しい仕上がりを実現します。

中塗り

中塗りに使用する塗料は、基本的には上塗り塗料と同じものを用います。 ただし、下地の状態や上塗り塗料の種類によっては、異なる塗料を使用する場合もあります。中塗りは仕上がりの色ムラを抑えることや下地と上塗りの密着性を高めることで塗膜の耐久性を向上させる役割があります。

上塗り

上塗りは、仕上げの工程として最も重要な役割を担います。中塗りで塗布した塗料の上に、さらに塗料を重ね塗りしていきます。この工程により、塗膜に耐久性・耐候性・防水性などが加わり、美観が向上します。

点検・手直し

上塗りまで完了したら、塗装業者と施主で最終的な仕上がりの確認を行います。具体的には、以下のような項目をチェックしていきます。

・塗装の色ムラや塗り残しがないか
・汚れや異物の付着がないか
・きちんと乾燥しているか
・施工箇所以外の場所に塗料が付着していないか

もし、不具合箇所があれば手直しを依頼します。

足場解体・引き渡し

塗装工事が完了すると、最後に足場の解体をしてもらいます。最終確認を行い、工事内容に問題がないことを確認します。 具体的には、下記のような項目を確認します。

・仕上がり状態の確認
・使用した塗料の種類や量の確認
・工事内容と見積もりの一致確認
・保証内容の説明
・その後のメンテナンスに関する説明

引き渡し時に確認した内容や、不明点があればきちんと説明をしてもらいましょう。引き渡し後も気になる点があれば、業者に相談をして安心して塗装を完了しましょう。

失敗しない塗装業者の選び方

塗装工事について色々とわかることが増えてきましたが、実際にどのような業者を選べば安心して任せることができるのでしょうか?以下実際に選ぶ上で役に立つ方法となりますので、参考になれば幸いです。

複数社から見積もりを取る

こちらは絶対に行ってください。少なくとも3社程度から見積もりを取り、価格や提案内容を比較しましょう。複数社から見積もりを取ることで、塗料の詳細や施工手順の工程を比較することにもつながり、欠けている工程はないか、見積もりにブレはないかなどが比較できます。

WEBサイトでの実績や建設業許可の確認

ありきたりかもしれませんが、業者のWEBサイトを確認することで多くのことがわかります。例えば、塗装の施工実績写真を確認することで、自分の想像する塗装がされているか確認できます。さらに、建設業許可(ざっくりの説明だと、500万円以上の大規模工事ができる業者かどうか)や資格の有無を確認でき、依頼をする判断の一助になります。

保証内容の確認

万が一の事故やトラブルに備え、工事保険や保証制度が充実している業者を選びましょう。保証期間や保証内容をしっかりと確認することが重要です。

口コミや評判の参考

Googleや比較サイトの口コミは参考になる可能性があります。良い口コミ・悪い口コミを双方を確認して、具体的な担当者名や同じような内容のクレームが書かれていれば信憑性が高くなってきます。実際はサクラである可能性もあるため、あくまで参考程度に確認しましょう。

また、地域密着型を謳っている業者であれば、近所の方と話をする機会があれば、聞いてみると生の口コミが聞けるかもしれません。

塗装工事に関するFAQ

よくある質問の一部を抜粋して、以下簡潔に回答を記載しております。

塗装工事の頻度

一般的には10年に一度が目安です。外壁の劣化状況や塗料の種類によって異なりますので、専門業者による診断をお勧めします。

工事期間

一般住宅の場合、10日~2週間程度が目安となります。

悪天候の場合

雨天や強風時は作業を中断し、安全や乾燥のしやすさを確保します。そのため、工期が延びる可能性があります。

騒音について

足場の組み立てや高圧洗浄や塗装作業時に多少の騒音が発生します。特に近隣住宅との距離が近い場合は、依頼者も事前にご近所への挨拶と作業時間のお知らせをしましょう。

近隣への配慮

洗浄中や塗装作業中の水・塗料の飛散などに注意が必要です。近隣の方々が洗濯物を干せなくなったり、隣の家や車に塗料が飛散することもあり得るため、飛散防止ネットの設置など、業者と相談して対策を行いましょう。