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コンクリート舗装とは?メリットやデメリット、アスファルト舗装との違いを解説
コンクリート舗装は、道路や駐車場の舗装方法の一つです。同じく道路舗装の一種であるアスファルト舗装とは耐久性や維持費などの面で異なる特徴を持っています。
この記事では、コンクリート舗装の概要やメリット・デメリット、アスファルト舗装との違い、施工費用の相場について解説します。
まとめ
- ・コンクリート舗装とは、セメントに砂や砂利などを混ぜて造ったコンクリートを用いた舗装のこと
- ・コンクリート舗装のメリットは高耐久性や燃費向上、維持費節約、表面温度の抑制、交通安全性などさまざまな効果を期待できる
- ・デメリットは施工期間が長い、騒音・振動が大きい、建設費と修繕費が高いなどがあるため要注意
コンクリート舗装とは

コンクリート舗装とは、セメントに砂や砂利などの骨材を混ぜ合わせて造ったコンクリートを用いた舗装のことです。
日本で初めて道路舗装にコンクリートが用いられたのは1912年で、それから11年後の1923年に発生した関東大震災をきっかけに、広く道路の舗装に用いられるようになりました。
ただし、同じく道路舗装に用いられるアスファルト舗装に比べると、コンクリート舗装の比率は低く、国土交通省が公開している道路統計年報2024によると、国道(指定区間)では約5%、一般都道府県道では約2%にとどまっています(※)。
一方で、市町村道では約24%と国道や県道に比べるとコンクリート舗装の比率が高く、地域によっては今なお重宝されている舗装工法といえるでしょう。
※ 国土交通省「道路統計年報2024 道路の現況 表3 道路実延長内訳の総括表」
コンクリート舗装の種類
コンクリート舗装は、舗装の目的や工法によって複数の種類に分類されます。
以下では主な種類を表にまとめました。
種類 | 特徴 |
普通コンクリート舗装 | ごくスタンダードな舗装。道路や空港、ヤードなどに適用 |
連続鉄筋コンクリート舗装 | 収縮目地のない舗装。道路や空港、ヤードなどに適用 |
早期交通開放型コンクリート舗装 | 打設からわずか1日で交通開放可能な舗装。交差点やバス停などの補修や打ち換えに適用 |
生コン舗装 | フレッシュコンクリートを用いた舗装。安全かつ簡易的な舗装法で、生活道路や歩道、駐車場に適用 |
コンポジット舗装 | 下層にコンクリート舗装、表層にアスファルト舗装を行う舗装。高い耐久性と走行性を併せ持つ |
ホワイトトッピング舗装 | 既存の道路のアスファルト表層を切削し、コンクリートを重ねる舗装。既存の道路補修工事に適用 |
ポーラスコンクリート舗装 | コンクリートをあえて多孔質化する舗装。排水機能や保水機能、騒音低減効果などを期待できる |
転圧コンクリート舗装 | アスファルト舗装と同じ機械を用いた舗装。比較的短期間での交通開放が可能で、道路やヤードに適用 |
コンクリート舗装のメリット

道路をコンクリート舗装にする主なメリットを5つご紹介します。
耐久性に優れている
コンクリート舗装の特徴として、耐久性が高く、長持ちしやすいという性質があります。具体的には、わだち掘れなどによる流動への耐性、熱や油への耐性、さらには耐摩耗性も兼ね備えています。
道路は日々多くの車が走行しており、直射日光や雨風にさらされることから、短期間でもかなりのダメージを負っているといえるでしょう。頑丈なコンクリートなら長期間にわたって破損や劣化を抑えられるため、道路の安全性や快適性が保たれやすいです。
ランニングコストを節約できる
前述の通り、コンクリート舗装は非常に耐久性が高いため、劣化や損傷による修繕の回数を減らせるかもしれません。もちろん、定期的な点検やメンテナンスは必要ですが、破損に対する修繕費を節約できるのは大きな利点です。
燃費の向上
車の燃費性能は、タイヤが路面を転がるときにどのくらいの抵抗を受けたかを示す転がり抵抗の値に左右されます。路面に凹凸があるとタイヤの転がり抵抗が大きくなるため、車の燃費が低下する原因となります。
コンクリート舗装は耐摩耗性が高く、タイヤの転がり抵抗に大きな影響を与えるわだち堀れが発生しにくいため、燃費の向上が期待できるでしょう。
表面温度の上昇抑制
道路は常に直射日光にさらされるため、特に暑い夏場は表面温度が非常に高くなります。そのため、路上や駐車場などに立っていると路面からの熱を受けて熱中症になるリスクが高くなるといわれています。
特に、路面が黒などの暗色だと熱がこもりやすいです。しかし、コンクリート舗装はグレーや白などの明色になるため、表面温度の上昇を抑制できます。
走行安全性の向上
前述の通り、コンクリート舗装は明色系であるため、照明を当てたときの路面反射率が高くなります。そのため、夜間走行時やトンネル内での視認性も向上し、より安全な走行が可能になります。 さらに、道路の視認性が高くなれば照明の効率が良くなり、照明にかかるコストの節約にもつながるでしょう。
コンクリート舗装のデメリット

コンクリート舗装には多くのメリットがある一方、いくつかのデメリットもあります。施工後の問題やトラブルを回避するためには、長所・短所の両方を理解しておくことが大切です。
ここではコンクリート舗装を採用するに当たってリスクになり得る点を5つご紹介します。
騒音・振動が大きい
コンクリートは気温の変化などによって膨張や収縮を繰り返すため、ひび割れが入りやすい傾向です。そのため、コンクリート舗装の施工時は目地を入れることで、ある程度自由に膨張や収縮、そりなどの現象を発生させ、コンクリート版に発生する応力の軽減を図っています。ただし、目地が入ることによって路面を走行したときに振動が発生しやすい点はネックです。
また、舗装面を平坦に仕上げるとタイヤがスリップしやすくなります。対策として、コンクリート舗装では最後にほうき目を入れて粗面に仕上げますが、平坦な路面を走行するときと比べると、騒音が出やすくなるという課題もあるでしょう。
なお、横目地が入らない連続鉄筋コンクリート舗装を採用すれば、ある程度振動や騒音の発生を抑制できます。
交通開放までの期間が長い
コンクリート舗装には大型の施工機械を使用するため、路床の条件が良い、橋梁などの構造物が少ない、現場までの交通への影響が少ないなど、いくつかの制約を受けます。そのため、施工速度は遅く、舗装が完了するまでに長い日数を要することがあります。
舗装中は原則として通行止めになるため、交通開放までの期間が長くなれば長くなるほど、交通利便性が低下するところが難点です。
ただし、早期交通開放型コンクリート舗装を行えば、打設から1日以内で交通開放が可能となるため、時間に制約のある車道の補修や駐車場などの補修に有効です。
初期費用が高い
コンクリート舗装は施工期間が長くなりやすいぶん、総施工費は高くなりがちです。そのため、維持費を抑えられるという利点はありますが、初期費用が割高になるため、十分な予算が必要になります。
ただし、近年はアスファルト舗装の原料も高騰していることから、以前に比べて価格差は小さくなってきているようです。
修繕に手間とコストがかかる
コンクリート舗装は耐久性が高く、長持ちしやすいところが利点です。一方で、一度ひび割れや穴などが開いたときは、大がかりな修繕になりやすいというデメリットがあります。補修工事の規模が大きくなると、当然手間やコストも増大するため、修繕時の負担が増えるところがネックです。
ひび割れが生じやすい
コンクリートは圧縮される力に強い一方、物質を引き伸ばす引張力に弱く、かつ変形能力も低い性質を持っています。そのため、地震や乾燥収縮などの影響を受けるとひび割れが生じやすい傾向にあります。
軽度のひび割れなら、ひび割れ被覆工法で修繕することが可能です。しかし、大きな亀裂が入った場合は充填工法など大がかりな作業が必要になるため、手間とコストがかかるところがデメリットです。
アスファルト舗装との違い
道路舗装の大半を占めるアスファルト舗装と、コンクリート舗装では使用している原料や外観、耐久性、施工期間、適用場所、費用などに違いがあります。
アスファルト舗装との違いは、以下の通りです。
アスファルト舗装 | コンクリート舗装 | |
原材料 | アスファルト混合物 | コンクリート |
外観 | 黒色 | 白やグレー |
耐久性 | 5~20年 | 40~70年 |
施工期間 | 1~2週間 | 1~3週間 |
適用場所 | 車道・歩道・空港の滑走路 | 車道・トンネル内・空港の駐機場(エプロン) |
建設費 | 比較的安価 | 高め |
維持費 | 簡易的な工法で修繕可能。ただし修繕頻度は高め | メンテナンス期間のスパンが長い。ただし1回当たりの修繕費用は高め |
騒音・振動 | 少ない | 多い |
アスファルト舗装は、原油に含まれる炭化水素類に、砂利や砂、鉱物質微粉末(フィラー)などを混ぜて造ったアスファルト混合物を原料とした舗装のことです。一方のコンクリート舗装はセメントや砂、砂利、水などを混ぜて造ったものを原料として使用します。
原材料が異なるため、外観もアスファルト舗装は黒色、コンクリート舗装は白またはグレーという差異があります。加えて、コンクリート舗装の方が明色性が高いぶん、夜間やトンネル内の視認性が高く、表面温度が上がりにくいのがメリットです。
また、アスファルト舗装は敷設自体は短期間かつ簡易な工法で済みますが、耐用年数は10~20年と短めで、頻繁なメンテナンスが必要です。一方、コンクリート舗装は耐用年数が50~60年と長く、メンテナンスの頻度が少なくて済むところが利点ですが、建設費と1回当たりの修繕費が割高になる傾向にあります。
建設費が割高になるのは施工機械の関係もありますが、施工期間も大きな要素の一つです。アスファルト舗装が1~2週間であるのに対し、コンクリート舗装は施工面積によっては3週間ほどかかることもあり、人件費がかさむ分、コストが高めになります。
その他、走行時の振動や騒音による違いもあります。コンクリート舗装は目地や粗面仕上げの影響で振動・騒音が気になることがありますが、アスファルト舗装は振動・騒音ともに少なく、快適に走行できるところが利点です。
コンクリート舗装の費用相場
コンクリート舗装の費用相場は、おおむね1平方メートル当たり1万円前後です。
ただし、実際の費用は舗装する面積やコンクリートの厚み、路盤の状態、施工業者などによって差が出ます。舗装する面積が広い場合やコンクリートに厚みを持たせる場合は、より多くの材料と施工期間、作業員が必要になるため、トータルの施工費は割高になります。 また、路盤の状態が悪い場合は表面の土壌を取り除き、良い土壌に入れ替えて転圧を行わなければなりません。その場合は路盤改良の追加費用が発生するため、よりコストがかさむ点に注意が必要です。
コンクリート舗装の費用を節約する方法
コンクリート舗装のコストをなるべく節約するには、複数の業者から相見積もりを取り、条件を比較することが大切です。舗装の費用は業者が独自に定めているため、同じ条件で工事を依頼したとしても費用に差が出る場合があるためです。
ただし、価格だけを比較して業者を決めるのはあまりおすすめできません。いくら安くても、材料の質が悪かったり、手抜き工事をされたりすると、後に大きなトラブルにつながる恐れがあります。業者を選ぶ際はコスト面だけでなく、過去の施工実績やサービスの内容、保証の有無なども考慮し、信頼できる業者に依頼しましょう。
なお、道路舗装ではなく駐車場舗装の場合は、全面的にコンクリート舗装するのではなく、タイヤが当たる部分だけ舗装するなど部分的な工事に抑えることで費用を節約することも可能です。
コンクリート舗装の特徴や、アスファルト舗装との違いをよく理解しておこう
コンクリート舗装はアスファルト舗装に比べて耐久性に優れており、メンテナンスの手間やコストを省けるところが利点です。また、転がり抵抗が少ないため、車両の燃費が向上する点や、舗装面が明るく表面温度が上がりにくい、道路の視認性が高いなどのメリットもあります。一方で、施工期間が長い、建設費や修繕費が高い、騒音・振動が比較的大きい点などはデメリットです。
加えて、コンクリート舗装とアスファルト舗装は、耐久性や維持費などの面も異なります。従って、費用面を考えるときは、長期的にどの程度コストがかかるのかを確認しておくのがおすすめです。
道路舗装を行う際は、ニーズや予算に適した舗装方法を慎重に検討することが大切です。まずは、コンクリート舗装とアスファルト舗装双方の特徴やメリット・デメリット、施工費用などをよく理解しておきましょう。