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CPDSとは? CPDの違いやメリット、注意点を解説
CPDSは、個人IDの登録者が講習会などで学習した内容を記録し、必要な際に学習履歴の証明書を発行するシステムです。
一般的に、継続学習はCPD(Continuing Professional Development)として知られていますが、(一社)全国土木施工管理技士会連合会(JCM)は早くからCPDを導入し、その固有の名称としてCPDにSystemのSを付けたCPDSと呼んでいます。
本記事では、CPDSとは何なのか、CPDとの違い、ユニット(学習履歴)を申請する際の注意点や受講のメリットなどを詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みになって、参考になさってください。
まとめ
- ・CPDSは個人の学習履歴を記録しておけるシステムで、必要に応じて自身の履歴を発行できるもの。
- ・CPDSとCPDの大きな違いは運営団体だが、内容自体に大きな違いはない。
- ・CPDSで学習を記録、学習の履歴を発行することで自己研鑽の努力を示し、社会からの客観的な評価を得ることができる。
目次
そもそもCPDとは?
CPDSを理解するために、まずはCPDについて深掘りしていきましょう。
CPD(継続的教育制度)は、技術士、建築士、建築施工管理技士、土木施工管理技士などの有資格者を対象とした継続教育プログラムです。この制度では、セミナーや講習を受講した有資格者に「CPD単位」が与えられます。
プログラムの受講により、「持続的なスキル向上の促進」「CPD単位による能力の可視化」を達成し、技術者の自己研鑽を促進し、客観的な評価を可能にするのです。
一部の資格では更新制度がないので、自己研鑽を怠る技術者も存在します。
そのためCPD制度は、自己研鑽に積極的に取り組む技術者とそうでない技術者との間に区別をつける制度と言えるでしょう。
現在、多くの行政機関が建設工事の入札などでCPD単位を評価の対象にしています。
CPDについては、以下の記事でより詳しく解説しています。ぜひご参照ください。
▶CPD制度とは? CPD取得のメリット4つ! 費用・登録方法なども解説
CPDSとは?

冒頭でも少し触れましたが、CPDSは、CPD(Continuing Professional Development)にSystemのSを加えたもので、個人が学習の履歴を記録し、必要に応じてその履歴を発行するためのシステムです。
CPDSの記録には、一般社団法人「全国土木施工管理技士会連合会」からIDを取得する必要があります。
IDには個人IDと特定機能IDの2種類があり、申請できる内容が異なるため、使用時には注意が必要です。
CPDとの明確な違いはある?
CPDとCPDSの明確な違いは、それぞれの運営団体にあります。
CPDは建設系CPD協議会が運営しており、一方でCPDSは一般社団法人全国土木施工管理技士会連合会(以下、全国技士会)が運営しています。
全国技士会は、各都道府県にある土木施工管理技士会や橋梁建設、塗装、現場技術を専門とする技士会など、50の技士会から成る連合体です。
全国技士会は建設系CPD協議会に加盟しており、他の加盟団体の登録者でも全国技士会のセミナーや講習を受講し、その受講証明書を利用して加盟団体のユニット(学習履歴)登録申請が可能です。
CPDとCPDSの内容自体に大きな違いはありませんが、CPDSは土木施工管理技士の専門知識や技術力、倫理観の向上を目的とする教育システムとして機能しています。
CPDSに必要なIDは2つ
CPDSのシステムを利用するにはIDが必須です。
IDには個人IDと特定機能ID(講習実施機関ID、社内研修ID、社員データID)の2種類があり、各IDによって申請可能な内容が異なります。
個人ID
個人IDでは学習プログラムの申請、ユニット(学習履歴)登録、学習履歴証明書の発行、Web-CPDS新規加入申請などが可能です。
特定機能ID
特定機能IDは、講習会を主催したり、社内研修の講師を派遣したりする場合に必要なIDです。
このIDでは、主催するプログラムの申請や代行での学習履歴の申請、講師派遣による社内研修プログラムの申請が可能です。
CPDSでユニット(学習履歴)を申請する流れ
講習会を受講した後は、全国土木施工管理技士会連合会のホームページに個人IDとパスワードでログインし、「学習プログラム・学習履歴の申請」からユニット(学習履歴)を申請します。
まずは「学習プログラム・学習履歴の申請」から学習プログラムの検索画面に進み、受講証明書に記載されている学習プログラムの登録番号を入力して登録してください。登録番号が不明な場合は、受講日と開催地を入力して検索します。また、Web学習の場合は日付で検索することも可能です。
検索結果に該当するものが見つからない場合は、学習プログラムの情報を全て入力し、プログラム内容の資料を提出する必要があります。
ユニット(学習履歴)を申請する際の注意点

CPDSに加入する前に行った学習でも、受講日から1年以内であれば申請可能です。
学習履歴証明書の申請時に残高が不足している場合は申請ができないため、案内に従って再送金の手続きを進めてください。
ただし、技術者証の再発行やWeb-CPDSの加入申請時に、IDの残高が足りない場合は申請を進めることができません。
また、新規登録後2年間活動がなければIDが失効するため注意が必要です。
CPDSで学習を記録、履歴を発行するメリットとは?
CPDSを利用して学習を記録し、学習の履歴を取得することは、自身のスキルの確保だけでなく、学習の歴史を客観的に示すことによって信頼性を高めることにもつながります。
これらの利点について詳しく説明していきます。
技能の維持と向上
CPDSの主な目的の一つは、技術者のスキル向上と自己研鑽です。
講習会の受講を通じて、個々の技能を磨き、より高度なスキルを身につけることができます。
そのため、CPDSは公平かつ包括的に提供され、誰もが利用できます。
学習履歴の証明
CPDSでは、学習の記録がシステム上で管理されます。
これらの学習記録は定期的に更新され、有効期間は5年間です。
必要に応じて、この学習履歴を証明するための証明書が発行されます。
これにより、自身の学習履歴や技能を客観的に示すことができるでしょう。
入札参加資格の向上
学習記録は、個々の学習ユニットとしてシステムに記録されます。
これらの学習の実績は匿名の登録番号で公開され、入札参加資格の審査に活用されています。
一部の地方自治体では、入札参加資格の審査においてCPDSの学習記録を加点の対象としているため、受講のメリットは大きいでしょう。
また、技術者の資格に関する欄に、CPD単位の取得を記入することが可能になることもあります。
経営事項審査での評価アップ
公共工事を発注者から直接請け負う建設業者は「経営事項審査」(経審)を受けることが必須となりますが、令和3年4月の経審改正で、技術者及び技能者の継続的な教育を評価する項目が新設されており、技術者をCPDで評価、技能者点を建設キャリアアップシステムのレベルアップで評価する仕組みが設けられています。
まとめ
技術者にとって、日々の努力は不可欠です。自己研鑽の義務を果たすために、CPDSが提供されています。この制度により、自己研鑽の努力を示し、社会からの客観的な評価を受けることが可能になるのです。
また、CPDSによって得られる加点は勤務先企業にとっても重要な要素です。公共工事の入札などにおいて優位に立てる上、個人のキャリア発展や他社との技術力比較にも役立つでしょう。
将来的には、この制度への需要が一層高まることが予想されるため、積極的にCPDSを活用していくことが肝要です。