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2024.08.26 GREENFILE

安全書類が面倒くさい人へ!効率化できる方法や仕組みの解説

建設業に従事されている皆様にとって、安全書類の作成は大きな負担となる場合もあり、非常に面倒な作業となります。作業員の安全確保や、企業としてのコンプライアンス遵守のために重要とはいえ、書類の作成にリソースを取られては本末転倒です。本記事では、安全書類に対して面倒くさいと感じ、煩わしさにちょっとした怒りすら感じている方へ、安全書類作成の負担を軽減し、業務効率化を実現するための方法をご紹介していきます。

まとめ

  • ・全建統一様式のExcel無料テンプレート、情報共有の徹底などが安全書類作成を効率化させる第一歩
  • ・毎月一定額の受発注がある場合、安全書類作成ソフトやアウトソーシングサービスを活用し、仕組み化させる
  • ・適切なツールの選定ではコストパフォーマンスは当然として、自分や入力をする関係者の機能性、操作性、セキュリティ対策を考慮して最適なツールを選定する(例:グリーンサイトなど)
  • ・安全書類の未提出は、罰則や行政処分、企業の信用失墜につながる可能性があるため、法令を遵守し、適切な作成・提出を行う

安全書類作成の現状と課題

建設現場では、労働災害を防止するために、様々な安全書類の作成と管理が義務付けられています。しかし、その作業は煩雑で時間と手間がかかるという課題を抱えています。

具体的な課題としては、以下のような点が挙げられます。

  • 膨大な書類量
    作業工程や作業内容ごとに必要な書類が異なり、さらに法改正にも対応する必要があるため、膨大な量の書類作成が必要となります。
  • 手書きによる非効率性
    多くの場合、書類は現場で手書きで作成されるため、非効率でミスも発生しやすくなっています。
  • 保管・管理の煩雑さ
    書類作成や提出の進捗状況、内容の変更などが関係者にスムーズに伝わらず、作業の遅延やミスにつながることがあります。
  • 情報共有がスムーズにいかない
    作成した書類は適切に保管・管理する必要があり、紛失や損傷のリスクも伴います。

これらの課題は、現場担当者の負担を増大させるだけでなく、安全管理の質低下にもつながりかねません。そのため、安全書類作成の効率化は、建設業界全体の喫緊の課題と言えるでしょう。

これらの課題を解決し、安全書類作成の負担を軽減することが、建設現場の安全管理と生産性向上には欠かせません。

安全書類を無料で効率よく作成する方法

安全書類の作成は、無料のツールや工夫次第で効率化できます。

全建統一様式のテンプレートの活用

安全書類(グリーンファイル)を作成する際、どの書式を使用するか迷う方が多くいます。
そんな場合、一般社団法人 全国建設業協会が定める「全建統一様式」を使用すると良いでしょう。「全建統一様式」は記載されている内容が法律に則って作成されており、異なる現場においても統一された規格で安全書類の作成が可能です。
こちらのテンプレートを活用することで、義務化された内容を漏れなく効率的に書類作成を進めることができます。

建設業法の改正や書類保管の注意

令和4年の建設業法改正では施工体制台帳の作成義務化が請負金額4000万円(建築一式6000万円)から4500万円(建築一式7000万円)に引き上げられており、法改正に合わせた安全書類の作成や見直しにも注意が必要です。
また安全書類は、建物の立入検査に備えて原則5年間、一部書類は10年間の保管が義務付けられています。保管を怠ると罰則適用されるケースもありますので、保存期間にも注意が必要です。

関係者との情報共有の徹底

安全書類の作成には、現場の状況や作業内容に関する情報共有が不可欠です。関係者間でスムーズに情報共有を行うことで、書類作成の手戻りや修正を減らすことができます。地道ですが、ここがスムーズにできるか否かで大きく効率化される印象です。

安全書類の効率化でおすすめサービス

安全書類作成の効率化には、専門のサービスを活用するのがおすすめです。大きく分けて、「クラウドサービス」「アウトソーシングサービス」の2種類があります。

安全書類作成のクラウドサービス

安全書類作成のクラウドサービスでは、建設現場などで必要となる安全書類の作成をインターネット上で支援するためのサービスです。多くの場合、フォームへの入力支援や自動計算/入力、過去のデータからの転記機能などが搭載されており、書類作成の手間を大幅に削減できます。

従来のエクセルなどを使った書類作成と比較して、専門のクラウドサービスを利用するメリットとしては、

  • 法改正への自動対応
  • 電子化によるスムーズな関係者との書類連携
  • 未提出書類のアラート
  • データの一元管理による検索性向上
  • 印刷や保管管理の手間を大幅に削減

などが多く挙げられます。

具体的なサービスとして、1つ目にグリーンサイトが挙げられ、「Con-Tech(建設テック)ソリューション市場展望 2022年度版」では業界シェア1位となっています。費用も初期設定費用は元請業者は30万円しますが、月額だと1プロジェクト当たり7,000円(最低10プロジェクトから申し込み)となります。1次請業者などは料金設定が異なるため、気になる方はグリーンサイトHPで確認してみてください。
参考:https://www.kensetsu-site.com/pricing/

2つ目には「Greenfile.work」があり、こちらも全国普及しているツールです。登録企業数はグリーンサイトと比べて少なくなりますが、書類不備の全チェックなど機能は多数あるため、サービスを検討する方はこちらも確認すると自分の求めているものがわかると思います。

(HP掲載上グリーンサイト:70万社、Greenfile.work:18万社)
参考:https://greenfile.work/

アウトソーシングサービス

安全書類の作成を外部の専門業者に委託することも、有効な手段です。アウトソーシングサービスを利用するメリットは以下の点が挙げられます。

  • 専門知識を持つ業者に依頼することで、質の高い書類作成と法令違反のリスク軽減を実現できる
  • 書類作成業務をアウトソーシングすることで、本来の業務に集中できる時間が増え、業務効率化を図れる
  • 社内に専門部署や担当者を置く必要がなくなり、人件費や教育コストの削減につながる

アウトソーシングサービスの利用を検討する際は、実績や費用、セキュリティ対策などを比較し、自社に合った業者を選ぶことが重要です。クラウド系のサービスを頼むレベルではないけれど、一定期間ごとに作成に手間が大きく増える際などは検討してみるのも良いと考えます。

各ツールの特徴と選び方のポイント

安全書類作成を効率化するツールを選ぶ際には、コストパフォーマンス、機能性、操作性、セキュリティ対策といった観点から比較検討することが重要です。

コストパフォーマンス

  • 予算や利用頻度、利用人数に合わせて、最適なプランを選びましょう。
  • 有料オプションで建設キャリアアップシステム(CCUS)の自動連係など、サービスによって、選択肢があります。

機能性

  • ツールによって、作成できる書類の種類や機能が異なります。
  • 必要とする書類や機能が備わっているか確認しましょう。
  • 例えば、専門性の高い書類を作成できるツールもあります。

操作性

  • ツールの操作性が複雑すぎると、使いこなすまでに時間がかかってしまいます。
  • 直感的に操作できる分かりやすいインターフェースのツールを選びましょう。
  • デモ版や無料トライアルなどがあるか確認してみるのも手です。

セキュリティ対策

  • 安全書類には、個人情報や機密情報が含まれている場合もあるため、セキュリティ対策は非常に重要です。
  • 強固なセキュリティ対策が施されているツールを選び、情報漏えいリスクを最小限に抑えましょう。
  • 具体的には、アクセス権限の設定やデータの暗号化などの機能が挙げられます。

安全書類を未提出の場合の罰則

安全書類を未提出の場合、労働安全衛生法違反に問われる可能性があります。

労働安全衛生法違反による罰金

労働安全衛生法は、職場における労働者の安全と健康を確保することを目的とした法律です。そのため、事業者には安全書類の作成と提出が義務付けられています。これを怠ると、罰金などの罰則が科せられる可能性があります。

具体的には、労働安全衛生法違反により、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります(労働安全衛生法第120条)。

指名停止などの行政処分

未提出を繰り返したり、悪質な場合には、企業名が公表される「指名停止」などの行政処分を受ける可能性もあります。指名停止を受けると、行政機関が発注する公共工事の入札に参加できなくなるなど、事業活動に大きな影響が生じます。

さらに、安全書類の未提出は、事故発生時の責任問題に発展する可能性もあります。事故が発生した場合、安全書類の未提出が原因で、企業の責任が重く問われる可能性があります。

安全書類の未提出は、法律違反となるだけでなく、企業の信用失墜にもつながる可能性があります。コンプライアンス遵守の観点からも、安全書類を適切に作成・提出することが重要です。

いずれの場合にもビジネスにおいて信用を著しく損なう行為のため、面倒な対応とはいえ堅実に対応せざる得ないというのが現状です。

最適なツールを活用して、業務効率化とコンプライアンス遵守を目指そう

建設業において、安全書類の作成は欠かせない業務ですが、時間と手間がかかる作業です。しかし、本記事でご紹介したような無料ツールやサービスを活用することで、効率化を図りつつ、法令遵守を徹底することが可能です。

業務の規模やニーズに合わせて、最適なツールを選び、安全書類作成の負担を軽減しましょう。正確な書類作成と適切な管理体制を構築することで、現場の安全確保を徹底し、企業の社会的責任を果たしていくことが重要です。