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2024.07.09 KNOWLEDGE

【2024年最新】建設業の20代~60代の平均年収!建設業で高給な業種は何?

建設業と一口に言っても、さまざまな職種が存在します。
また、就職や転職をする上で気になる平均年収も、年代や職種によって異なってくるものです。

本記事では建設業の平均年収をはじめ、職種別に年収がどう変わってくるのかをご紹介します。
就職や転職先として建設業を検討している方は、ぜひ最後までお読みになって参考になさってください。

まとめ

  • ・建設業で受け取れる平均年収は529.1万円で、全業界と比較して高い。
  • ・建設業の賃金水準が上昇したのは、「人手不足の解消」「優秀な人材の確保」などの理由が影響している。
  • ・建設業でさらに年収をアップさせるためには、建築士などの資格を取得することが未だに有効。

建設業の職種について

建設業は実に幅広い職種があり、さまざまな働き方をしています。
大きく分けると、以下の4つに分類することができます。

  • 技術職:建物の設計や測量、工事現場の監督などを行う職種
  • 建設・採掘職:建設現場の作業を中心に働く職種
  • 営業職:法人や公共事業の建設に関わる営業を行う職種
  • 事務職:上記に分類されて働く人々をバックアップする職種

本記事では、特に建設現場に近いところで活躍する「技術職」「建設・採掘職」に関連した平均年収について、深堀りしていきます。

建設業の平均年収はいくら?

ここからは建設業の、気になる平均年収について深堀りしていきます。
しかし先述の通り、建設業といってもさまざまな働き方があるため、まずは業界全体の平均年収を見ながら、年代別、職種別の平均年収を見ていきましょう。

建設業全体の平均年収

国税庁が集計した『業種別及び年齢階層別の給与所得者数・給与額』によると、建設業全体の平均年収は529.1万円です。

年代別の平均年収

続いて年齢別の平均年収はどうでしょうか。
先ほどの『業種別及び年齢階層別の給与所得者数・給与額』で確認していきましょう。

年齢建設業の平均年収(千円)全業界の平均年収(千円)
19歳以下2,4331,236
20~24歳3,5502,725
25~29歳4,3633,886
30~34歳4,6674,245
35~39歳5,2604,619
40~44歳5,3334,913
45~49歳5,8315,211
50~54歳6,3385,368
55~59歳6,2875,464
60~64歳5,4154,409
65~69歳4,5463,422
70歳以上3,6322,975
全年代の平均年収(千円)5,2914,576

全業種の平均年収を見てみると、ベテランとして管理職に就く人も少なくない50代の年収が高くなっています。

建設業の平均年収も同様に、50代の年収が他の年代と比べて高めであり、全年代においても全業種の平均を上回っているのが見て取れるでしょう。

※参考:国税庁.「業種別及び年齢階層別の給与所得者数・給与額」.
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?tclass=000001208600&cycle=7&year=20220 ,(参照 2024-06-26).

建設業の職種別・平均年収

次は、建設業の職種ごとの平均年収を見ていきましょう。
建築業のどういった工程に携わるか、どんな仕事をするかによっても平均年収は変わってきます。
ここではそれぞれの職種がどういった仕事なのかにも触れながら、厚生労働省が発表している『賃金構造基本統計調査の職種別賃金額』をもとに平均年収を確認していきましょう。

※参考:厚生労働省.「賃金構造基本統計調査の職種別賃金額」.
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10701000-Daijinkanboutoukeijouhoubu-Kikakuka/shiryo2-9.pdf ,(参照 2024-06-26).

建築士

建築士とは「建築士法」による資格を持つ人のことです。建物を建てる際に重要な設計図を作成する仕事に携わります。建築士には一級、二級、木造の3種類の資格が存在しますが、一級建築士の資格を持つと、大規模な都市開発や公共建築物なども担当することができます。

一級建築士の場合、平均618万円の年収を受け取れます。

建設コンサルタント

建設コンサルタントは、インフラ全般に関して総合的な企画やアドバイスを提供し、クライアントを支援する専門家です。

私たちの安全で快適な生活や経済活動は、道路、鉄道、港湾、空港、上下水道、河川、ダム、公園、エネルギー供給施設、通信施設、廃棄物処理施設など、多くの公共施設や制度に支えられており、これらは「社会資本」(インフラ)と呼ばれます。

社会資本の整備は、一般的に国や地方自治体の発注者、建設コンサルタント、建設会社の三者が協力して進めています。

建設コンサルタントが受け取れる平均年収は約496万円です。(※)

※こちらのデータのみ『求人統計データ』より引用しています。

引用元:求人ボックス 給与ナビ.「建設コンサルタントの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)」.
https://xn--pckua2a7gp15o89zb.com/%E5%BB%BA%E8%A8%AD%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%AE%E5%B9%B4%E5%8F%8E%E3%83%BB%E6%99%82%E7%B5%A6 ,(参照 2024-06-26).

測量技術者

測量技術者は、測量士、森林測量技術者、道路測量士などの総称です。土地はもちろん、水路や森林などの測量について計画から作業実行までを行います。また成果報告や資料にまとめる作業も務めます。建設業においては、測量士資格をもった測量技術者の測量結果によって建設条件が決まるため、極めて重要な役割です。

測量技術者の平均年収は、平均441万円です。

技術士

技術士は、技術分野の中で最高位の国家資格を有する職種です。
具体的には、21に分かれた専門分野で研究・設計・分析・試験・評価などを行います。建設業では建設コンサルタントとして土木に関する業務を行ったり、国土交通省の地質調査に携わったりしています。

高い技術力を有する技術士の平均年収は、約553万円です。

大工

多くの人が「大工さん」と聞くと、一軒家を建築するイメージが浮かぶかもしれません。おおむねその通りで、大工は木造建築物の新築や増築、リフォームなどを担う人を指します。大工は建築士が作った設計図をもとに材料を加工しながら、実際に建物を建てていきます。

大工の平均年収は約417万円です。

鉄筋工

鉄筋とは、建物や橋梁などのコンクリート構造物の骨組みを指します。この骨組みを実際に組み立てるのが鉄筋工の役割です。鉄筋工は、加工した鉄筋を現場に搬入するために、重機やクレーンの操作も行います。

鉄筋工の平均年収は約377万円です。

電気工

電気工は国家資格である「電気工事士」の資格を持ち、電気設備の工事を担当する仕事です。電気工事士は、外線配線工事、屋内配線工事、冷暖房設備工事、ビルの電気設備の保守管理などを行います。
電気工は、電工、電路工、高圧線工、配線工などの職種の総称です。これらの職種は、電柱の上で作業する外線配線工事や、住宅やビル内で電源やケーブルを配線する屋内配線工事などを行い、電気工事の欠陥による災害を防ぐために作業を行います。

電気工の平均年収は約414万円です。

掘削、発破工

掘削・発破工は「発破技士」の国家資格を持つ専門職です。

発破とは、火薬の爆発力を利用して人工構造物を破壊したり、山を破砕したりする業務全般を指す法定用語です。発破技士は、土木作業現場や採石現場で発破を設置する際の穿孔、装填、点火を行います。掘削作業主任者と発破技士は、土木作業や採石現場などで活躍する職種です。掘削作業主任者は、土砂や岩石を掘る現場に必ず常駐し、作業員が安全に作業できるように指導します。

発破技士は、重機で粉砕することが難しい岩盤などをダイナマイトなどの火薬を使って爆破する専門職です。また、爆発が不発だった場合の残薬確認や処理も発破技士の重要な役割です。

掘削・発破工の平均年収は約454万円です。

土木作業員、建築作業員

土木作業員は、さまざまな工事現場や建設現場で多岐にわたる土木工事を担当する仕事です。特に機械を使うのが難しい場所での資材運搬、穴掘り、掘削、地ならしなどを行う土工の収入についてご紹介します。

土木工事とは、木材、石材、鉄材を使用して行う工事を指します。この工事に従事する人を土木作業員と言います。具体的には、工事に必要な資材の運搬、掘削、アスファルトの剥がし、その後の整備などを行うのが一般的です。
土木作業職には一般的に資格は必要ありませんが、監督責任者になるには土木施工管理技士などの資格が求められます。土木施工管理技士は国家資格で、1級と2級の2種類があります。取得には継続的な経験を通じて専門的な知識と技術の習得が必要です。

土木作業職の平均年収は約349万円で、年収は比較的低いです。給与は日給制度が採用されていることが多く、休みを取ると手取りに影響が出ることが課題となっているのです。

一方、ショベルカーや大型・大型特殊車両などの免許を取得すると年収を上げることが可能です。また、国家資格である土木施工管理技士を取得することで、現場監督者へキャリアアップでき、それに伴い年収も上がります。さらに、建設業の就業者不足を解消するために働き方改革が進められており、休日の取得促進や非正規雇用から正規雇用への変更など、「きつい」「汚い」「危険」の3Kからの脱却が進んでいる状況となります。

建設業の賃金引き上げ率は高い?

令和4年度の全産業における賃金引き上げ実施率は85.7%です。これに対し、建設業の賃金引き上げ率は95.4%で、学術研究や専門・技術サービス業の95.7%に次いで2位となっています。
建設業での賃金水準の上昇には、人手不足や行政の制度改革が影響しています。
ここでは、建設業の賃金引き上げ率が高い理由と、建設業の平均年収について解説します。

※参考:厚生労働省.「 賃金の改定の実施状況 」.
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/22/dl/01.pdf ,(参照 2024-06-21).

引き上げ率が上がった理由

建設業の賃金水準が上昇した背景には、「人手不足の解消」「優秀な人材の確保」「賃上げによる公共工事入札での優位性」などの要因が影響していると考えられます。
まず、人手不足と優秀な人材の確保は建設業界の大きな課題です。賃金を引き上げることで、人員の補充と優秀な人材の獲得を目指しています。
さらに、賃金引き上げによって公共工事の入札が有利になる制度改革も重要な要因です。令和4年4月1日以降、国の機関が発注する公共工事では、賃上げを実施している企業が選ばれやすくなる仕組みが導入されました。
これらの理由から、多くの建設企業が賃金引き上げを実施していると考えられます。

建設業でさらに年収を上げるには

建設業でさらに年収を上げるにはどうしたら良いのでしょうか。
具体的には、主に4つの方法があります。

資格の取得を積極的にする

建設業界では、確実な仕事を遂行するために多くの資格が設けられています。従業員がこれらの資格を取得することで、公共工事の入札で有利になるなど、企業にとっても大きな利点があります。資格手当を支給する会社も多く、昇給や昇格の可能性も高まります。
例えば、建築士には1級、2級、木造の3種類があります。1級建築士は建築物の制限がなく、幅広い業務を担当できるため、2級建築士や木造建築士よりも収入が高いのが一般的です。

経験を積む

建設業界では、実務経験が豊富な人ほど信頼され、重要な仕事を任されることが多いです。経験豊かな人材は、納期や工程を予定通りに進めることができるため、特に重宝されます。
例えば、ゼネコンでは、20代の経験が浅い社員と比べて、40代の経験豊富な社員の年収が倍近く異なる企業もあります。経験を積むことは、年収アップのための有効な手段です。

転職も視野に入れる

年収を上げるためには、待遇の良い企業への転職を検討するのも一つの方法です。その際、同じ業種内でより高収入の企業へ移るか、建設業界の中でも高収入の職種へ転職するかを考えることができます。
特に、今後業績が伸びると予想される分野への転職が狙い目です。また、年収だけでなく、ボーナスや残業代、福利厚生なども含めて待遇を比較し、最も条件の良い企業を選ぶことが重要です。

副業も検討する

建設業の本業が終わった後や休日に時間があるなら、副業を検討するのも収入を増やす方法の一つです。
未経験者でも始めやすい副業には、Webライティング、アフィリエイト、ネット販売、投資などがあります。また、大工の中にはシェアハウスを運営している人もいます。
ただし、会社の就業規則で副業が禁止されている場合には注意が必要です。副業禁止の規則を破ると、降格や出勤停止などの懲戒処分を受ける可能性があります。必ず事前に会社の規則を確認し、問題がない場合のみ自分に合った副業を行うようにしましょう。

建設業で役立つ資格・免許

ここからは、建設業で役立つ上、取得していると年収がアップしやすい資格や免許について説明していきます。

国家資格

建築士

建築士の資格には、「一級建築士」「二級建築士」「木造建築士」の3種類があり、それぞれ対応できる建物の規模が異なります。特に一級建築士は、建築業界で最も収益性の高い資格と言えます。
しかし、その分難易度も高いため、学習のために必要な時間は多くなるでしょう。

電気工事士

電気工として働くには、国家資格である「電気工事士」の免許が不可欠です。電気工事士には「第一種」と「第二種」があり、資格によって担当できる作業内容が異なります。冷暖房設備の設置や施設内の配線だけでなく、鉄道の電気工事など、建設業以外の分野でも活躍の場があります。

民間資格

基礎施工士

基礎施工士とは、建物の基礎工事に関する民間資格で、一般社団法人日本基礎建設協会が認定する資格です。この資格を取得することで、基礎工事における専門知識と技術を証明し、現場で実践することが可能です。

建築CAD検定試験

建築CAD検定試験は、建築図面をCADソフトを用いて作成する能力を測る民間資格試験です。この試験は一般社団法人全国建築CAD連盟によって運営されており、実務レベルの建築設計図面を一定時間内に正確に作成する能力が求められます。試験を通じて、CADソフトの熟練度と建築設計の知識を実証することができます。

まとめ

建設業界の平均年収に関する情報をまとめました。建設業は社会インフラのメンテナンスや防災・減災対策、リニア新幹線の開通工事など、安定した需要が見込まれています。今後も安定した収益を維持すると予想されています。
年収を増やすためには、自身のキャリアや資格、所属する会社を選択することが重要です。日々の業務で成果を上げるためにも、適切な職種を選び、スキルを高めていくことが必要です。