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2024.07.09 KNOWLEDGE

建設技術審査証明とは? メリットやNETISの違いも解説

建設技術審査証明とは、新しい建設技術の活用促進に寄与することを目的としたものです。
これだけ聞くとNETISとあまり変わらないのでは……と思われるかもしれませんが、双方には明確な違いがあります。

本記事では、建設技術審査証明とは何かを詳しく解説した後、それを取得するメリットやNETISとの違いもご紹介します。
最後までお読みいただき、ぜひ参考になさってください。

まとめ

  • ・建設技術審査証明とは、民間で開発された技術を適切に取り入れ、新技術による建設技術水準の向上を目的とするもの。
  • ・学識経験者などで構成される委員会によって厳格に審査されるため、建設技術証明を取得すると高い信頼性を獲得できる。
  • ・NETISは活用の信頼性を即座に保証するものではないのに対して、建設技術審査証明は審査された時点で高い信頼性を得られるため、早期PRに繋がる。

建設技術審査証明とは?

建設技術審査証明制度は、民間で開発された技術を建設事業に適切に取り入れ、新技術による建設技術水準の向上を目指すものです。
この制度の運営では、審査証明技術について、学識経験者と専門技術者で構成される「審査証明委員会」が設置されます。
委員会は、技術の開発趣旨、目標、内容、既存技術との比較、実績などを審査し、使用現場での適正判断を容易にすることで、技術の早期普及を図ります。

この事業は、平成13年1月5日まで建設大臣告示に基づき、建設大臣から認定を受けた14法人が行っていた「民間開発建設技術の技術審査・証明事業」の実績を基に、平成13年1月10日に建設技術審査証明協議会が設立したものです。

対象となる技術は?

新たに開発された建築物、建築設備、および構造物に関連する建築技術のうち、「建築物などの施工、材料、部材、設備、器具、設計、計画、工法、維持管理、検査に関する技術」や「既存建築物の維持保全、改修および解体のための機械、設備、器具、調査、材料、工法に関する技術」などが対象となります。

対象となる技術の具体例

  • 橋梁の架設工法に係わる開発技術/ (一財)日本建設情報総合センター
  • 道路に係わる開発技術 / (一財)土木研究センター
  • 構造物の耐震・耐風に係わる開発技術 / (一財)土木研究センター
  • 基礎工の施工法に係わる開発技術 / (一財)日本建設情報総合センター
  • コンクリートに係わる開発技術 / (一財)土木研究センター
  • 土工の施工法に係わる開発技術 / (一財)日本建設情報総合センター
  • 地盤改良工の施工法に係わる開発技術 / (一財)日本建設情報総合センター

建設技術審査証明業を実施している機関

建設技術審査証明事業は、建設技術審査証明協議会に所属する14の法人が実施しています。所属する法人は、以下の通りです。

  • 一般財団法人 国土技術研究センター
  • 一般財団法人 土木研究センター
  • 一般財団法人 日本建設情報総合センター
  • 一般社団法人 日本建設機械施工協会
  • 一般財団法人 ダム技術センター
  • 一般財団法人 日本建築センター
  • 一般財団法人 建築保全センター
  • 一般財団法人 砂防・地すべり技術センター
  • 一般財団法人 先端建設技術センター
  • 一般財団法人 日本地図センター
  • 一般財団法人 ベターリビング
  • 公益財団法人 日本下水道新技術機構
  • 公益社団法人 日本測量協会
  • 公益財団法人 都市緑化機構

建設技術審査証明の流れ

建設技術審査証明について、各機関で細かい違いはあるものの、一般的な流れは以下のようになります。

  1. 事前打ち合わせ:技術概要の聴取を行います。
  2. 申請受付:各機関に審査証明依頼書を提出すると、書類の確認が行われます。
  3. 受付審査:新技術について、学識経験者等で構成される委員会を設置し、国土交通省および関連する公共機関のニーズと技術指針に基づき、公平かつ公正に審査が行われます。
  4. 受付審査合否の連絡:各機関より合否の連絡があります。
  5. 専門委員会への出席:専門委員会に出席し、技術内容の詳細な審査を行います。内容によっては現場調査なども行われます。
  6. 完了審査:完了審査において総括審査が行われます。
  7. 審査証明書の交付:技術審査の結果に基づき、審査証明書および技術内容をまとめた報告書が作成されます。
  8. 普及活動:各種普及活動を実施し、新技術の普及と実用化を促進します。

建設技術審査証明を受けることのメリット

建設技術審査証明を受けることのメリットは、なんと言っても「信頼性を得られる」という点でしょう。
技術内容は、学識経験者などで構成される委員会によって厳格に審査され、その妥当性が客観的に証明されます。したがって、審査証明を取得した技術は、施主に対して高い信頼性を提供し、安心感を与えることができます。この証明は、技術の説明や施主への説得に非常に効果的でしょう。

また、審査証明を受けた技術については、施工者からの技術提案が求められる際に、その技術が総合評価方式で積極的に採用される可能性が高まります。
このため、類似した施工方法や技術が提案された場合には、審査証明技術が優先的に採用されることがあり、ビジネス拡大の機会を得ることができるのです。

特に、公共下水道工事においては、審査証明を取得した技術のみを一般競争入札の条件としている自治体が存在し、大規模な案件を獲得する際には必須の認証システムとして重要視されています。

建設技術審査証明のデメリット

一方デメリットとして、申請の際に必要な書類の量が非常に多く、内容も複雑であることが挙げられます。
さらに審査証明にかかる申込料や審査費用の負担額は決して少ないものではありません。

建設技術審査証明とNETISの違いとは?

「技術の証明」とだけ聞くと、NETISを思い浮かべる方も多いはずです。
NETISと建設技術審査証明にはどのような違いがあるのでしょうか。

NETISの登録は、活用の信頼性を即座に保証するものではなく、信頼性を確立するためには後日の評価(VR、VE)を取得するまでに相当な時間が必要です。
一方、建設技術審査証明を取得した技術は、審査された時点で高い信頼性を証明できるため、早期から信頼を構築することが可能となります。
取得を目指す企業の目線に立つと、NETISよりも建設技術審査証明を得る方がスピーディーなPRに繋がるでしょう。

NETISについては、以下の記事で詳しく解説しています。併せてお読みください。

NETISとは? 活用メリット5つと工期や費用削減の事例3選【施工者・発注者向け】

まとめ

建設技術審査証明の概要やメリット、NETISとの違いなどを解説しました。
建設技術審査証明を取得することは、自社が保有する技術に対して信頼を得るメリットがあります。

NETISと比較して、どちらを先に申請・取得するか悩まれている方も、建設技術審査証明の取得を検討されると良いでしょう。