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2024.07.09 KNOWLEDGE

建設と建築の違いとは? 建物の規模感や工事の違いを解説

建設と建築には明確な違いが存在します。
この2つの用語の違いを理解していないと、建築業界での作業や、逆に建設・建築を依頼する場合において混乱する可能性があるでしょう。

本記事では、建設と建築の違いに焦点を当て、さらに建設会社と建築会社の異なる役割についても詳しく解説します。ぜひ参考になさってください。

まとめ

  • ・建設とは、建物だけではなくダム、トンネル、橋などを含むインフラ設備を作ることを指す。
  • ・建築とは、人々が雨風を凌げて快適に生活を送れる空間を作ることを指す。
  • ・「建設」の中に「建築」が含まれる。

建設と建築の違いとは?

まずは、建設と建築の違いを端的に解説します。

  • 建設:建物を含め、橋やトンネル、ダムや鉄道などの「インフラ設備」を作ること
  • 建築:人々が快適に生活するための家屋や大規模商業施設などの「建物」を作ること

人々が生活するための家屋やマンション、ビルなどの建物を作るのが建築で、それらを含め、インフラ設備も整えるのが建設に分類されます。

建設とは?

建設とは、建築と土木を総称する言葉で、自然環境に手を加えて人々が快適に暮らせるようにすることを指します。

例えば、建物を建てるだけでなく、山にトンネルを掘る工事や山中にダムを作る工事なども含まれます。蛇行している河川を直線化し、洪水を防ぐための治水工事なども同様に建設の範囲内です。
安全性と快適性を両立させることが「建設である」と言っても過言ではないでしょう。
そのため、建設には高度な技術力と専門知識が求められます。

建造物の例や規模感
トンネル、橋、道路、ダム、河川整備、港、空港、埋め立て地 など

建築とは?

建築とは、人々が雨風を凌げる場所を作ることを指します。

現在ではこの基本的な定義に加えて、「快適性」の追求も求められるようになり、変化・進化を遂げており、その具体例として、広々とした住居や高層建築などが挙げられます。

さらに、快適性だけでなく、景観や美観を損なわないことも重要な要素となり、建築は多様な進化を続けているのです。

また、建築の対象は住宅だけでなく、ビルや商業施設、その他の建造物も含まれます。
ビルや商業施設、建造物においては、デザイン性や独自性が求められることも多いです。
周囲との調和を考慮しつつ、芸術性を感じられるような建築が求められ、多様なニーズに応える力が必要と言えます。

建造物の例や規模感
家屋、ビル、マンション、商業施設 など

建設業と建築業の工事内容や目的の違い

次に、「建設業」と「建築業」それぞれがどのような仕事・工事を行っているのかについて解説します。

建設業ついて

まず、建設業の仕事内容について説明します。
先述したように、建設業は建物の建設だけでなく、道路、橋、ダム、鉄道などのインフラ設備の構築や点検を主な業務としています。

建物の建設に比べて、より大規模で予算の大きいプロジェクトが多く、国家事業ともいえる案件であることも多いです。
建設業は、人々が安全で快適な生活を送るために必要不可欠なインフラを作り、国民の生活を守る重要な役割を果たしています。

建築業ついて

建築業は、人々が生活するための建物を構築する重要な役割を担っています。
建物は単なる構造物ではなく、その内部で生活し、働き、遊ぶ人々の生活や活動を支える場所です。
そのため、建築業は単に建物を建てるだけでなく、居住者や利用者のニーズ、快適性、安全性を考慮した設計と構築を行うことが求められます。

例えば、住宅の場合は居住者が安心して過ごせる環境を提供することが重要です。快適な居住空間や効率的な間取り、そして耐久性や省エネ性を考慮した建材の選定が必要です。

商業施設では、顧客が快適に買い物を楽しめるような環境づくりが求められます。
また、文化施設や教育施設では、利用者が安全かつ快適に学ぶことや楽しむことができる環境を提供することが重要です。

建設会社と建築会社の選択基準

就活中の方や、建物の工事を依頼したい方が、建設会社と建築会社のどちらを選ぶべきかについて、以下で選択基準について解説します。

大規模工事なら建設会社

建設業者は、土木工事と建築工事の両方を手掛け、建物だけでなく橋、道路、ダム、トンネル、鉄道などさまざまなプロジェクトに携わります。
したがって、建物以外の大規模な工事や土木工事に携わりたい場合や依頼をしたい場合は、建設業者を検討することが適切です。

元請けとして発注のみを行う会社もありますが、自社で工事を手掛ける業者を選べば、ワンストップの発注ができて便利です。

建物を建てるのであれば建築会社

建物の工事や改築に携わりたい場合や依頼したい場合は、建築会社を選択しましょう。

建築会社は建設業者に比べて規模が小さいところが多いですが、その分、独自のこだわりを持っていることもあります。

会社によっては、商業施設、ビル、工場など特定の建築物に特化しているところもあります。
多くの会社がホームページを持っているので、実績や事例などのページで建物の雰囲気やこだわりのポイントなど掲載していることもあるので、チェックしてみると良いでしょう。

建設業の中に含まれるのが建築業

建築業は、住宅やビルなどの建物を扱う業種である一方、建設業は建物に加えてあらゆる設備や施設、インフラの整備を含む業種です。
つまり、建築業は建設業の一部門として位置付けられます。
「より大規模な工事に携わりたい」と考えている就活生の方や、建設業者と建築業者のどちらに工事を依頼すれば良いのか悩んでいる方は、建設業者を選択すると良いでしょう。

建設業者を選ぶ際は必要な許可に注目しよう

建設業を営む上で欠かせないものに、建設業の許可というものがあります。
この許可は、民間工事であっても公共工事であっても必要です。
建設業の許可には、「国土交通大臣の許可」と「都道府県知事の許可」の2種類があります。

  • 国土交通大臣の許可:2つ以上の都道府県の区域内に営業所を設置して営業を行う場合に必要
  • 都道府県知事の許可:1つの都道府県の区域内のみに営業所を設置して営業を行う場合に必要

就職する業者や工事を依頼する業者を選ぶ際は、上述の許可をしっかり取得している業者かを確認しましょう。ホームページだけで確認がとれない場合は、直接問い合わせてみてください。
※参考:国土交通省.「土地・不動産・建設業」

まとめ

「建設」と「建築」は似ていますが、建設の中には建築も含まれていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

建設業と建築業は社会において重要な役割を果たし、それぞれの工事内容や目的も多岐にわたります。
「こうした建物を建てたい」「こういった設備が必要だ」というときに、ぜひ参考にしてみてください。