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路盤工とは?役割や施工手順などについて解説
道路の下には、表面にかかる交通荷重を支えるための基盤が、何層にもわたって積み重ねられています。その一つが、路盤(ろばん)と呼ばれる砕石やスラグ、砂利などでできた層です。
舗装工事において、路盤を施工する工程を「路盤工」と言います。道路を平らに均し、しっかりと締め固める上で路盤工は欠かせません。
この記事では、路盤工の役割や施工の流れについて分かりやすく解説します。
まとめ
- ・路盤工とは、アスファルトやコンクリートなどの舗装の下地となる「路盤」をつくる工事を指す
- ・路盤工の役割は、「舗装のための均一な土台をつくること」と「交通荷重を分散させ、路床に伝えること」
- ・一般的な路盤工の施工手順は、「①路盤準備工を行う、②下層路盤をつくる、③上層路盤をつくる」の流れ
路盤工とは

路盤工は、アスファルトやコンクリートなどの舗装の下地となる「路盤」をつくる工事です。
路盤とは、“路床とアスファルトコンクリート層、あるいはコンクリート版の中間に設けられる層で、交通荷重を分散させて安全に路床に伝える役割を果たす部分”を指します。主な路盤の種類として、粒状路盤やセメント安定処理路盤、アスファルト安定処理路盤などがあります。
道路の舗装は、以下の表のように表層・基層・路盤から成り、路盤はさらに上層路盤と下層路盤に分かれます。上層路盤の工事は上層路盤工、下層路盤の工事は下層路盤工と呼ぶのが一般的です。
舗装の構造 | 厚さの例 | |
---|---|---|
舗装 | 表層 | 5cm |
基層 | 5cm | |
路盤 | 上層路盤 | 15cm |
下層路盤 | 15cm | |
路床(原地盤) | – |
舗装工事では、原地盤のうち厚さ1mの部分に相当する路床を形成した上で、路床の上にある下層路盤工、上層路盤工の順に施工します。
路盤工に用いられる材料
路盤工に用いられる材料を「路盤材」と言います。路盤工では、砕石やスラグ、砂利などさまざまな路盤材を用いて、舗装を支える基盤をしっかりと締め固めます。
使用される路盤材は、道路の用途によって異なります。例えば、車道部には粒度調整砕石(粒調砕石)や水硬性粒度調整鉄鋼スラグ、歩道部にはクラッシャーラン(岩石などを砕石機で破砕し、ふるい分けを行わないもの)を用いるのが一般的です。
路盤材は下記の表の通り、国土交通省や地方自治体によって品質規格が定められています。
路盤材の種類 | 粒径 |
---|---|
粒度調整砕石(粒調砕石) | 40mm以下 |
水硬性粒度調整鉄鋼スラグ | 25mm以下 |
クラッシャーラン | 30mm以下 |
路盤工が果たす役割
舗装工事において、路盤工が果たす役割は2つあります。
・舗装のための均一な土台をつくる
・交通荷重を分散させ、路床に伝える
舗装のための均一な土台をつくる
路盤工の役割の一つは、上部の舗装のための均一な土台をつくることです。路盤や路床に凹凸(不陸)があると、その上にある基層や表層も平らにならず、車両走行時の安全性・快適性が損なわれます。そのため、路盤工ではモーターグレーダーなどの重機を用いて、均一な仕上がり厚さになるように路盤を敷き均します。
交通荷重を分散させ、路床に伝える
路盤には、上層から伝わる交通荷重を分散させ、クッションのように下の路床に伝える役割もあります。路盤の強度が十分でなければ、道路にくぼみができたり、陥没したりするかもしれません。路盤工によって、砕石やスラグなどの材料をしっかりと締め固めるのが大切です。
路盤工の施工手順
一般的な路盤工の施工手順は以下の通りです。
1.路盤準備工を行う
2.下層路盤をつくる
3.上層路盤をつくる
路盤準備工を行う
まずは路盤工の前に、路床にある凹凸を平らにする作業を行います。この作業を不陸整正(ふりくせいせい)と呼びます。

不陸整正には、モーターグレーダーと呼ばれる重機を用いるのが一般的です。モーターグレーダーは、前後の車軸の間にブレード(排土板)がついており、前進させることで路床のかき起こしや、敷き均しを行います。
下層路盤をつくる
路盤準備工が完了したら、下層の路盤をつくる「下層路盤工」を行います。下層路盤工では、ダンプトラックなどで搬入した路盤材をモーターグレーダーで敷き均し、ロードローラまたはタイヤローラによってしっかりと締め固めます。
下層路盤の材料には、ふるい分けを行っていないクラッシャランを用いるのが一般的です。下層路盤は仕上がり厚さの目安が定められており、一層の厚さが20cmまでになるように施工する必要があります。
ただし、十分な密度が確保されている場合は、仕上がり厚さが20cmを超えても構いません。
上層路盤をつくる
最後に、上層の路盤をつくる「上層路盤工」を行います。下層路盤工と同様に、重機で敷き均しや締め固めを行いますが、路盤材には粒度を調整した粒度調整砕石(粒調砕石)や、砕石に石灰やセメントを混ぜた安定処理材料を用いるのが一般的です。
また表層や基層のように、アスファルトを混合させた「加熱アスファルト安定処理路盤材」を用いるケースもあります。
国土交通省によると、上層路盤の仕上がり厚さの目安は15cmまでです。ただし、アスファルトなどの瀝青材料を加えて路盤をつくる場合、仕上がり厚さは10cmまでに設定されます。
路盤工の役割や施工の流れについて知っておこう
路盤工とは、舗装工事において、均一な土台をつくるために「路盤」を施工する工程です。路盤には交通荷重を分散させ、下の路床へ伝える役割があります。
路床に凹凸がある場合は、まず路盤準備工を行い、モータグレーダーなどの重機を用いて平らに均します。その後、砕石やスラグ、砂利などの路盤材を搬入し、所定の仕上がり厚さとなるように敷き均していくのが、一般的な施工の流れです。