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2025.03.26 PAVEMENT ROAD CONSTRUCTION

道路舗装は2種類!それぞれの特徴やデメリット、ひび割れ時の対応など解説

道路の表面には、車両走行時の安全性・快適性を高めるため、平らで丈夫な舗装が施工されています。国土交通省によると、2020年の時点で国内の一般道路のうち、約82.5%が舗装された道路です。

道路の舗装といっても、アスファルト舗装やコンクリート舗装など、さまざまな種類があります。この記事では、道路舗装の主な種類や、それぞれの特徴・デメリット、表面にひび割れができたときの対応について詳しく解説します。

まとめ

  • ・道路舗装は「アスファルト舗装」と「コンクリート舗装」の2種類があり、それぞれ耐久性や施工時間、メンテナンスのしやすさに違いがある
  • ・アスファルト舗装は施工期間が短くコストが安いが、耐久性が低く頻繁なメンテナンスが必要。一方、コンクリート舗装は耐久性に優れるが施工コストが高く、工期が長い。
  • ・道路舗装にひび割れが発生した際は、軽度なら補修材で対応可能だが、大規模な損傷は専門業者による補修工事が必要となる

道路舗装は2種類ある

道路舗装は、大きく「アスファルト舗装」と「コンクリート舗装」の2種類に分けられます。

舗装の種類素材性質用途
アスファルトアスファルト 骨材すぐ固まる 気温や路面温度に影響されやすい一般的な場所
コンクリートセメント 水 骨材固まるまでに時間がかかる 磨耗に強く、わだちができにくい大型車交通量が多く、傷みやすい場所 補修が困難な場所(トンネルなど)

日本の一般道路はアスファルト舗装が多いものの、コンクリート舗装が実施されている箇所もあります。また、コンクリート舗装はトンネルなど、補修やメンテナンスが困難な場所にも用いられるのが一般的です。

アスファルト混合物を用いたアスファルト舗装

アスファルト舗装とは、アスファルト・コンクリート舗装とも呼ばれ、材料にアスファルト混合物を用いた舗装です。アスファルト混合物とは、原油を蒸留して製造する石油アスファルトに、砂や砂利などの骨材や、アスファルトの安定性を高めるフィラーを加えたものを指します。

一般的なアスファルト舗装は、表層・基層・路盤の3つの層からなり、路床と呼ばれる基盤の上に構築されます。

アスファルト舗装の構成材料
舗装表層加熱アスファルト混合物
基層
路盤上層路盤砕石やクラッシャーランなど
下層路盤
構築路床良質土など
路床原地盤

アスファルト混合物が用いられるのは、路面に近い表層や基層の部分です。アスファルトに覆われた表層や基層が路面を保護し、路盤が交通荷重を分散して路床に伝えることで、道路の安定性・快適性を維持する仕組みになっています。

セメントを用いたコンクリート舗装

コンクリート舗装とは、セメント・コンクリート舗装とも呼ばれ、材料にセメントや水、骨材を用いた舗装です。

コンクリート舗装は表層のコンクリート版とその下の路盤からなり、土台となる路床の上に築造されます。道路の耐久性や耐水性を高めるため、コンクリート版と路盤の間にアスファルト中間層を設ける場合もあります。アスファルト中間層には、粒度の粗い骨材を混ぜ合わせた密粒度アスファルト混合物を用いるのが一般的です。

コンクリート舗装の構成材料
舗装表層コンクリート版
アスファルト中間層密粒度アスファルト混合物
路盤上層路盤砕石やクラッシャーランなど
下層路盤
構築路床良質土など
路床原地盤

アスファルト舗装やコンクリート舗装には、それぞれメリット・デメリットがあります。道路の状況や周辺環境への影響、経済性なども考慮しながら、適切な舗装を選ぶことが大切です。

アスファルト舗装の特徴やデメリット

ここでは、アスファルト舗装の特徴やデメリットについて紹介します。

アスファルト舗装の特徴

アスファルト舗装の特徴は以下の通りです。

項目特徴
舗装の耐久性耐変形性が低く、わだち掘れが生じやすい タイヤチェーンなどによる摩耗に弱い
騒音・振動の小ささコンクリート舗装と比べ、騒音・振動ともに小さい
路面の明るさ路面反射が弱く、明色性が低い トンネルなどでは暗くなるため、走行に支障が出る
施工しやすさコンクリート舗装と比べ、施工上の制約が少ない 工事にかかる期間が短い
維持・修繕の容易さ簡易的な工法によって維持・修繕できる
施工にかかる費用コンクリート舗装と比べ、施工費用が比較的安い
メンテナンス費用維持・修繕を頻繁に行う必要がある 長期的なメンテナンス費用ではコンクリート舗装を上回る

アスファルト舗装はコンクリート舗装と比べ、工事にかかる期間が短く、施工費用も比較的安いという特徴があります。また維持・修繕が容易であり、簡易的な工法でメンテナンスを行うことが可能です。

アスファルト舗装のデメリット

アスファルト舗装には、以下のようなデメリットがあります。

・コンクリート舗装と比べ、耐変形性や耐摩耗性の点で劣っている
・維持・修繕を頻繁に行う必要があり、長期的なメンテナンス費用はコンクリート舗装を上回る
・気温や路面温度に影響されやすく、真夏はヒートアイランド現象の原因となる

アスファルト舗装は、コンクリート舗装よりも変形に弱く、わだち掘れ(車輪に沿ってできるへこみ)が生じやすいというデメリットがあります。また寒冷地などでは、タイヤチェーンによる摩耗にも注意が必要です。

そのため、アスファルト舗装は劣化しやすく、維持・修繕を頻繁に行う必要があります。長期的なメンテナンス費用では、コンクリート舗装を上回るといわれています。

真夏になると、路面温度が上昇しやすいのもアスファルト舗装のデメリットです。アスファルト舗装が占める面積が大きい都市部では、路面の温度上昇によるヒートアイランド現象が問題となっており、熱中症などの健康被害の増加が懸念されています。

ただし、近年は遮熱性舗装や保水性舗装など、道路の暑さ対策を取り入れた舗装も普及しつつあります。

道路の暑さ対策特徴(※)
遮熱性舗装路面のアスファルトに遮熱材を塗布し、路面温度の上昇を最大で約8度抑制する舗装
保水性舗装舗装の隙間に保水材を詰め込み、水が蒸発するときの気化熱によって路面温度の上昇を最大で約10度抑制する塗装

※東京都建設局「TOKYO WAY 第6版」p41
https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kensetsu/000066794

コンクリート舗装の特徴やデメリット

ここでは、コンクリート舗装の特徴やデメリットについて紹介します。

コンクリート舗装の特徴

コンクリート舗装の特徴は以下の通りです。

項目特徴
舗装の耐久性わだち掘れなどの変形が生じにくい 耐摩耗性が高い
騒音・振動の小ささ目地による振動や粗面による騒音が問題となる
路面の明るさ明色性が高く、夜間やトンネル内でも視認性を確保できる
施工しやすさ舗装に必要な機械編成が長大になりやすく、施工スピードが遅い 路床の条件や周辺の構造物によっては施工できない
維持・修繕の容易さ比較的規模の大きい工法が必要となる
施工にかかる費用アスファルト舗装と比べ、施工費用が高い
メンテナンス費用維持・修繕の頻度が少ない コンクリートの打換えが必要な場合は費用がかかる

コンクリート舗装は、アスファルト舗装よりも耐久性に優れ、わだち掘れなどの変形が生じにくいのが特徴です。また路面の明色性が高く、暗い場所でもドライバーが視界を確保しやすいことから、トンネル内や橋梁部の道路に適しています。

ただしアスファルト舗装にも、アスファルトにカラー骨材を混ぜ合わせた「明色舗装」があり、視認性が求められる交差点部などに用いられます。

コンクリート舗装のデメリット

コンクリート舗装には、以下のようなデメリットがあります。

・施工に手間がかかり、交通開放までの期間が長くなる
・施工費用が高く、アスファルト舗装と比べ初期投資が大きくなる

コンクリート舗装は施工に手間がかかり、工事期間が長いのがデメリットです。ただし、転圧コンクリート舗装(RCCP)のように、通常のコンクリート舗装よりも施工のスピードが速い工法も存在します。

また、アスファルト舗装と比べ、道路を新設する際の初期投資が大きいというデメリットもあります。ただし、維持・修繕の頻度はアスファルト舗装よりも少ないことから、総合的なコストはコンクリート舗装のほうが割安となるケースもあるようです。

舗装にひび割れができたときの対応は?

道路の舗装は、経年劣化とともにひび割れやわだち掘れができたり、平たん性が損なわれたりします。舗装の劣化や傷みを放置すると、車両走行時の安全性・快適性が失われ、事故の発生原因となりかねません。

路面性状特徴(※)
ひび割れ路面のクラックのことで、段差や騒音、振動の発生につながる
わだち掘れ横断方向の凹凸のことで、水はねや操舵性の低下につながる
平たん性縦断方向の凹凸のことで、乗り心地の低下や騒音、振動の発生につながる

軽度のひび割れであれば、補修材を用いることで応急処置が可能です。大規模な損傷が見られる場合は、舗装の補修工事を依頼すると良いでしょう。

ここでは、舗装にひび割れができたときの対応方法を2つ紹介します。

  • ひび割れ用の補修材を用いる
  • 舗装の補修工事を依頼する

※東京都建設局「TOKYO WAY 第6版」p21
https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kensetsu/000066794

ひび割れ用の補修材を用いる

アスファルト舗装にひび割れができた場合は、市販の補修材を用いた修復が可能です。

舗装のひび割れ用の補修材には、シートタイプやスティックタイプ、パッチタイプなど、さまざまな種類があります。ひび割れの程度に合わせて、補修材を使い分けることが大切です。

ひび割れの程度補修材の種類
初期のひび割れがある場合シートタイプ
深さ3mm~5mm程度のひび割れがある場合スティックタイプ
損傷が激しく、へこみがある場合パッチタイプ

舗装の補修工事を依頼する

舗装の経年劣化が進み、陥没していたり大きな段差があったりする場合は、建設会社などに補修工事を依頼する必要があります。なお、補修工事の際に道路を占有する場合は原則として道路の占有許可が必要です。

また、コンクリート舗装が破損した場合、大規模な補修工事が必要となる可能性があります。破損の種類や原因によって、さまざまな補修工法が必要です。

補修工法特徴
注入工法目地に脱落やひび割れがある場合、目地材を注入する
パッチング工法目地の段差や角欠けに補修材を充填する
表面処理工法コンクリート版の表面に薄層の舗装を行い、平たん性を改善する
局部打換え工法コンクリート版または路盤の一部を打換える
打換え工法既存の舗装を撤去し、新しく敷き直す

アスファルト舗装やコンクリート舗装のひび割れを見付けたら、そのまま放置せず、速やかに相談しましょう。

道路舗装の主な種類やそれぞれの特徴について知ろう

道路舗装は、アスファルト混合物を用いるアスファルト舗装と、セメントを用いるコンクリート舗装の2種類に分けられます。

アスファルト舗装は、施工に要する期間が短く、路面温度が下がり次第、すぐに交通開放できるのが特徴です。一方、コンクリート舗装は耐久性に優れており、トンネルのように補修やメンテナンスが困難な場所に用いられます。

舗装にひび割れやクラックができた場合は、路面性状をそれ以上悪化させないため、速やかに応急処置を行う必要があります。初期のひび割れであれば、補修材を用いて簡単に修復することが可能です。舗装の劣化が進んでおり、損傷が下地にまで及んでいる場合は、建設会社などに補修工事を依頼すると良いでしょう。